RPGに勇気をもらう人々
RPGの主人公になりきったり、その行動に感化を受けたりすることがあるものです。
例えば、「ある少年が、RPGの主人公の勇気ある行動に触発され、いじめられている友達を助けるために立ち上がる」なんてことがあるかもしれません。
また、普段は人見知りで、人と話すことを苦手に感じていても、RPGでよくある「酒場で情報収集する主人公」になりきるなら、バーや居酒屋でも気軽に声かけたり会話を楽しんだりできるかもしれません。
プレイヤーは何十時間も、時には何百時間も1つのゲームとその物語に没頭します。
そのため、ゲーム内での体験が、自分の考え方や行動に影響を及ぼすということも当然ありえるのです。
今回、アサートン氏ら研究チームは、自閉症の人々に焦点を当て、RPGの影響を調べることにしました。
「自閉症」とは、生まれつき対人関係がうまくできず、コミュニケーションが取れなかったり、言語の発達が遅かったりする障害です。
(現在では、自閉症だけでなく、アスペルガー障害、広汎性発達障害などを含む疾患概念として、「自閉スペクトラム症(ASD)」という表現も用いられます)
世界中で100人に1人の子供が自閉症と診断されますが、大人になった患者たちは自閉症の特徴を隠そうとし、自分に大きな負荷をかけながら生活することが多いようです。
彼らは、社会的な交流を求める気持ちと、その難しさや不安に挟まれ、苦しんでいるのです。
では、そんな状況をRPGが少しでも変化させることはできるのでしょうか。
研究チームは、8人の自閉症の人々(成人)を参加者として募集し、6週間のテーブルトークRPG(TPRG)に参加してもらいました。
そして参加者へのインタビューを通して、RPGが及ぼす影響について調べました。