DARTミッションの目的とは?
DART(ダート)とは「二重小惑星進路変更実験(Double Asteroid Redirection Test)」の略称です。
DARTミッションは、地球に衝突する危険がある小惑星に、探査機をぶつけて軌道を変えることを目的とした実験で、惑星防衛ミッションの一環として実施されました。
もし小惑星の軌道をズラすことができれば、完全に破壊はできなくても、地球に衝突するコースは避けられるでしょう。
そうすれば、人類が約6600万年前の隕石衝突で絶滅した恐竜の二の舞になることは防げるかもしれません。
そこでNASAを中心とする国際研究チームは2022年に、地球から約1100万キロの距離にある小惑星「ディモルフォス」をターゲットにDART実験を行いました。
ディモルフォスは直径約160メートルほどのサイズで、より大きなディディモスという小惑星の周囲を公転していました。
ちなみにディモルフォスが地球に衝突する可能性は元からなく、ただDARTミッションの標的として最良だったから選ばれただけです。
そしてチームはディモルフォスに向けて冷蔵庫サイズの無人探査機を放ち、時速約2万2000キロのハイスピードで正面衝突させました。
その結果、DARTミッションは見事に成功。
探査機の衝突前、ディモルフォスはディディモスの周囲を約11時間55分かけて公転していましたが、衝突後は軌道周期が32分縮まり、約11時間23分になっていることが確かめられました。
これはディモルフォスがディディモスに数十メートル単位で近づき、”軌道のずらし”に成功したことを意味します。
こちらは探査機目線から衝突直前まで撮影されたディモルフォスの映像です。
(※ 音声はありません)
衝突の余波は?
衝突後の様子を観測するため、イタリアの小型人工衛星「LICIACube」が直前で探査機から切り離され、衝突の全貌とその余波をモニタリングしました。
2年近くの追跡観測の結果、衝突の衝撃によりディモルフォスからは100万キロ以上に及ぶ大量の塵や岩石が発生したことが判明しています。
ただこれらの破片が宇宙空間のどこに拡散するかは今日まで未解明でした。
そこでミラノ工科大らが破片の動きをシミュレーションしたところ、史上初の人工流星群となるシナリオが浮かび上がったのです。