ほとんどの人は反対意見を持つ相手の考えを理解できていると勘違いしていた
分析の結果、参加者たちの「反対意見を持つ人に対する推測」は、往々にして間違っていることが明らかになりました。
いくつかのトピックにおける相手の回答から、その人の考えを部分的に学んでいたとしても、正しく推測できていなかったのです。
しかも悪いことに、相手の考えに対して間違った推測をした人は、自分の推測に対して高い自信を示していました。
つまり人は、自信満々に、「あなたの言うことは分かるよ。○○だと思っているのでしょう?」なんて考えたり話したりする傾向があるものの、実は、その推測は大きくズレている場合が多かったのです。
そのため、誤解した推測を前提に、「あなたはきっと○○と考えているだろうけど、でもね……」と自分の意見を押し通そうとしてしまうのです。
誤解された人からするとたまったものではありませんね。
パートナーや友人、また同僚や上司からこのように、自分の気持ちをわかったつもりで反論され、イライラした経験を持つ人も少なくないでしょう。
ちなみに今回の研究では、主に政治的見解に関する意見の食い違いについて扱われました。
研究チームは、政治的二極化(国民の政治傾向が保守とリベラルのどちらかに偏り、中庸が少なくなること)の原因の1つに、今回の研究結果が関連していると考えています。
人々は自分と異なる考えの人を理解できていないことに気づいておらず、それゆえ一層極端な考えを持つようになってしまうというのです。
そして研究チームは、こうした問題がすぐに解決することは難しいことを認めつつも、「異なる信念を持つ人々との会話は、互いに対する誤った思い込みを正すのに役立つかもしれません」と直接の対話が正しい理解への近道であると考えています。
確かに私たちは、意見の異なる相手に対して、言いたいことはわかる、というようについついわかった気になってしまいがちです。
しかし断片的な情報だけで判断していると、相手の考えを勘違いしてしまう可能性が高くなります。
これは会議でも、パートナーとの喧嘩でも、友人との会話の中でも起こりうることでしょう。
だからこそ、「自分は相手のことを正しく理解できていない」という考えを持って、相手としっかり会話することが大切です。
重要なのは相手の気持や考えをわかった気になって話を進めないことなのでしょう。
そしてもし、「自分が誤解されている」と感じた時も、誤解されたままにするのではなく、丁寧に話し合うことで、円滑な人間関係を構築できるかもしれません。
相手の考えをわかっていると思っている人の考えをわかった上で違うと否定しようとした人の考えをわかった上で否定してわかっていると思っている人の考えをわかった上で違うと否定しようとした人の考えをわかった上で否定して相手の考えをわかったと主張する。
理解しあう二人がどの程度同じ考えを持っているかをわかったという人を加えたらこじれる理由がわかる