自然災害がもたらすトラウマ
自然災害が多い日本に住む人は、台風や地震、津波などによって、命の危険を感じたり、家族や友人を失ったりすることがあります。
実際にそのような経験をした人は、災害から一定の期間が過ぎても、その時の体験や記憶を無意識に思い出したり、夢に見たりすることが続くかもしれません。
これにより日常生活に支障が出ることを、PTSD(心的外傷後ストレス障害)と言います。
例えばある人は津波を経験し、先ほどまで後ろにいた人が流されて消えた時の光景が忘れられません。
それから数カ月も経っているのに、度々、その時の映像や音、ニオイがフラッシュバックし、苦しめられるのです。
私たち自身が、そのような症状で悩むこともあれば、家族や友人がそうである場合もあるでしょう。
では、そのようなPTSDを和らげるために、比較的簡単に取り組める治療方法はあるでしょうか。
近年、運動がPTSDの予防や治療に有効だとする報告が散見されるようになりました。
しかし、その条件やメカニズムについては明らかになっていません。
そこで今回、征矢氏ら研究チームは、ラットを用いた実験により、PTSDと運動の関係性を分析することにしました。