「ナスカの地上絵」の発見史
ナスカの地上絵はユネスコの世界文化遺産にも登録されている非常に有名な歴史的遺物です。
南米ペルーのナスカ川とインヘニオ川に囲まれた平坦な台地の上に、さまざまな幾何学模様や動植物が描かれています。
これらは古代アンデス文明の遺産であり、その文明に属したナスカ文化の人々によって紀元前2世紀〜紀元後7世紀の間に作成されました。
地上絵のサイズは約10〜300メートルとかなり大小の幅があります。
こちらはおそらく、ナスカの地上絵として最も有名なコンドルの絵です。
ナスカの地上絵は1920年代に研究者たちによって発見され始めました。
コンドルの他、サルやハチドリ、リャマ、シャチといった魅力的な地上絵が次々と見つかり、1994年にユネスコ世界遺産に登録されています。
ただその時点ではまだ約30点ほどの地上絵しか見つかっておらず、研究者たちもほんの一部にしか過ぎないことを知っていました。
というのも、ナスカ台地の面積は約400平方キロメートル(※)におよぶ広大な土地であるため、未発見の地上絵がまだまだ膨大にあることが容易に想像できたからです。
(※ 東京23区がだいたい622平方キロメートル)
そんな中、山形大学は2004年に「ナスカ地上絵プロジェクトチーム」を結成し、地上絵の発見と保護活動を積極的に押し進め、驚くべき成果の数々を上げてきました。
調査チームは人工衛星や航空機、ドローンといったリモートセンシング技術を駆使してナスカ台地を精査し、未発見だった地上絵の存在を次々と明らかにしています。
これまでに見つかっているナスカの地上絵は430点ほどですが、そのうちの318点は山形大学のチームが見つけたものでした。
この実績が評価されたことで、ペルー文化省から直々にナスカ台地での学術調査を正式に許可された世界で唯一の研究機関となっています。
とはいえ、ナスカ台地にはまだまだ調べられていない土地がたくさんあります。
同チームはさらなる地上絵の発見を求めて、米IBM研究所と提携し、AIを活用した先進的な調査を行いました。