自律的に組織化していくアンスロボット
下図は、ECMから取り出した直後のスフェロイドと、取り出してから7日後のスフェロイドの画像です。
0日目のスフェロイドは運動性を示しませんが、7日目のスフェロイドは運動性が大幅に増加していました。
スフェロイドがECMから取り出された後の3週間で、全体で2281個のスフェロイドが観察されましたが、そのうち約50%はその大部分に繊毛があるにも関わらず、3週間の間に運動性を示しませんでした。
これらは「動かないスフェロイド」と分類されています。
下図のカラーの画像は、0日目と7日目のスフェロイドの染色結果です。
繊毛(黄色)、細胞間の結合状態(赤色)、および核(青色)の外表面と断面の様子が示されています。
7日目には、スフェロイド表面の繊毛(黄色)の量が大幅に増加しているのが分かります。
この繊毛は、運動を行うための大切な要素になっています。
繊毛が自己組織化して形成されることで、まるで生命を持ったかのように動く「生体構造」が完成されるのです。
この研究が示すのは、ヒトの細胞が自律的に構造を作り、さらに運動能力を発揮する驚異的なメカニズムです。
以下、「動くスフェロイド」をアンスロボットと呼びます。
下記の動画では活発に動き回る7日目のアンスロボットが確認できます。