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フィールド調査で石を舐めることは、迅速かつ合理的な鉱物の特定につながります。/ Credit : Canva
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地質学者が「石を舐める」理由とは? (2/3)

2024.10.28 Monday

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舐めてはいけない鉱物に要注意

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左から、人体に有害な鉱物である輝安鉱、辰砂、燐灰ウラン石、見かけたら要注意です。/ Credit : ja.wikipedia

地質学者が石を舐める行為には、リスクも伴います。

なぜなら、一部の鉱物は有毒だからです。

特に、明るい黄色やオレンジ、赤、緑色をした鉱物には要注意です。

これらの鉱物には、鉛やヒ素、銅、ウランなどの有害な成分が含まれている可能性があり、舐めると健康に害を及ぼすことがあります。

参考として、以下に危険な鉱物を一部紹介します。

方鉛鉱(PbS)– その美しい光沢には要注意!

方鉛鉱は、金属光沢を持つ美しい硫化鉛の鉱物です。

一見して輝くような姿は魅力的に見えますが、決して舐めたり触れすぎたりしてはいけません。

この鉱物に含まれる鉛は、粉塵を吸い込んだり、体内に取り込んだりすると非常に有害です。

特に、鉛は神経系に深刻な影響を与えることで知られています。

長期間にわたって鉛にさらされると、脳や体に深刻な損傷をもたらすことがあるため、絶対に注意が必要です。

辰砂(HgS)– 赤く美しいけれど、実は超有毒!

鮮やかな赤色を持つ辰砂(シンシャ)は、硫化水銀の鉱物です。

その美しい色合いに目を奪われるかもしれませんが、辰砂に含まれる水銀は非常に有毒です。

水銀中毒は、神経系、消化器系、そして免疫系に悪影響を及ぼし、最悪の場合、死に至ることもあります。

古代の錬金術師たちは辰砂を使用していたと言われていますが、現代ではその危険性が広く知られており、触れないことが鉄則です。

輝安鉱(Sb2S3) – 鋼色に輝くが、アンチモンを含む危険物!

輝安鉱は、鮮やかな鋼色の金属光沢を持つ硫化アンチモン鉱物です。

その輝く外観とは裏腹に、含まれるアンチモンが非常に有毒です。

アンチモンは人体に重大な健康リスクをもたらし、長期間さらされると皮膚障害、胃腸障害、呼吸器系障害、心血管疾患などを引き起こす可能性があります。

この鉱物は、見た目の美しさに惑わされず、十分に距離を置いて観察することが大切です。

石黄(As2S3)– 鮮やかな色が危険のサイン!

石黄はオレンジや黄色の鮮やかな色を持つヒ素の硫化鉱物です。

見た目が素晴らしいため、アートや装飾品として使われることもありますが、これは非常に危険です。

ヒ素はどの形態でも有害であり、特に吸入や摂取によって深刻な健康リスクをもたらします。

皮膚病変、代謝疾患および神経疾患などを引き起こす可能性がありこの鉱物に触れる際には、適切な保護具が必要です

燐灰ウラン石(Ca(UO2)2(PO4)2·10–12H2O) – 放射性ウランに注意!

燐灰ウラン石は鮮やかな緑色をしたウラン鉱物で、含水カルシウムウラニルリン酸塩として知られています。

この鉱物はウランを含んでおり、放射性物質を体内に取り込むと、がんのリスクが増大します。

ウランを含む鉱物は、常に放射能の危険があるため、特に取り扱いには厳重な注意が必要です。

硫酸銅(CuSO4·5H2O)– 水溶性の銅汚染を引き起こす?

硫酸銅は理科の実験などで目にする機会もありますが、実は自然界では非常に稀であることが知られています。

(※自然界の鉱物名はゴシュアイトと呼ばれています)

硫酸銅は水に溶けやすく、環境中で銅汚染を引き起こす原因となることがあります。

水に溶けた銅は、植物や動物に有害であり、摂取すると消化器系の問題を引き起こすことがあります。

見た目は美しいですが、この鉱物に触れる際には手袋を着用し、周囲の環境にも注意することが重要です。

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