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代名詞が脳でどのように処理されているか判明!/Credit:Canva . 川勝康弘
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代名詞が脳でどのように処理されているか判明!

2024.10.18 Friday

なぜ人間は代名詞を使うのでしょうか?

彼や彼女のような「代名詞」は太郎や花子のような「名詞」に比べて情報精度に欠けています。

しかし私たちは日常の会話でも本を読むときにも「彼」や「彼女」が誰を指しているかがわからなくなることはありません。

オランダ神経科学研究所(NIN)で行われた新たな研究では、脳がどんな仕組みで名詞と代名詞のスムーズな結びつきを行っているかが明らかにされました。

今回は人間が代名詞を使う理由に迫ると共に、脳内での代名詞の情報処理の仕組みにも迫りたいと思います。

研究内容の詳細は2024年9月29日に『Science』にて発表されました。

How are pronouns processed in the memory-region of our brain? https://nin.nl/news/how-are-pronouns-processed-in-the-memory-region-of-our-brain/
Pronouns reactivate conceptual representations in human hippocampal neurons https://doi.org/10.1126/science.adr2813

なぜ人間は情報精度に劣る「代名詞」を使うのか?

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なぜ人間は情報精度に劣る「代名詞」を使うのか?/Credit:Canva . 川勝康弘

近年欧米では、he(彼)やshe(彼女)のような代名詞は、男女ありきの考えの押し付けに繋がるとして、代わりにthey(彼ら/彼女ら)を使おうとする運動がみられます。

たとえば従来は

太郎と花子が居酒屋に入ってきた。そして彼は椅子に座った

Taro and Hanako came into the bar. And he sat down on a chair.

と太郎に対して彼(he)という代名詞を使います。

しかし太郎が自分は男性でも女性でもなく彼(he)や彼女(she)を使いたくないと主張する場合には

太郎と花子が居酒屋に入ってきた。そして彼らは椅子に座った。

Taro and Hanako came into the bar. And they sat down on a chair.

と表現するように求められます。

こうすると、椅子に座ったのが太郎だけではなく花子も含まれるという意味に変化してしまします。

他にも同じ性別の人物が2人いる場合では

太郎と次郎が居酒屋に入ってきた。そしては椅子に座った

Taro and Jiro came into the tavern. And he sat down on a chair.

となり、太郎と次郎のどちらが椅子に座ったのかわからなくなっていまします。

一方、代名詞の代りに「太郎」という名詞を使い続ける場合には、このような間違いは発生しません。

このように代名詞は名詞に比べると情報が曖昧であり、使用法によっては情報伝達に混乱が起こることがあります。

しかし全体として、人間は名詞を代名詞に変換するのが非常に得意な生物であることは確かだと言えるでしょう。

本を読んでいて「代名詞が出てくるたびに誰だったかを確認しなければならない」という人や「会話の中で代名詞が出てくると話が分からなくなる」という人は、あまりいません。

実際、代名詞が全く存在しない言語というのは、地球上にほぼないと考えられています。

しかし、そもそも、なぜ代名詞というものが存在するのでしょうか?

次ページ代名詞は「効率化」や「特別感の演出」のために使われる

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