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Credit:Generated by OpenAI’s DALL·E,ナゾロジー編集部
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研究者「まるでジェダイ…」マウスは超音波で空中の粒子を操りクラスター化できる⁈

2024.10.20 Sunday

マウスはフォースの使い手なのかもしれません。

以前からマウスは人には聞こえない「超音波発声」をすることが知られていました。

従来の説によると、この超音波は異性への求愛表現の一種だと考えられています。

しかし米バッファロー大学(UB)は最近、「マウスの超音波は空気中の粒子を動かしてクラスター化するために使われている」との大胆な仮説を提唱しました。

その様子を研究者はあたかもフォースの力で無数の小石を宙に浮かし、一つの大きな岩石にまとめる「ジェダイのようだ」と話しています。

では、マウスは何のために粒子をクラスター化させるのでしょうか?

研究の詳細は2024年10月1日付で科学雑誌『Neuroscience & Biobehavioral Reviews』に掲載されています。

‘Use the force,’ Mickey: Study suggests that ‘Jedi’ rodents remotely move matter using sound to enhance their sense of smell https://www.buffalo.edu/news/releases/2024/10/rodents-sense-of-smell-nose.html Rats use ultrasound to boost their sense of smell, suggests new study https://newatlas.com/biology/rats-ultrasound-boost-smell/
Do rodents smell with sound? https://doi.org/10.1016/j.neubiorev.2024.105908

マウスは「超音波発声」を何に使っているのか?

マウスを含むげっ歯類「超音波発声(ultrasonic vocalizations:USV)」の能力が発見されたのは1950年代のことです。

USVはヒトの可聴域を超えている音声であり、私たちには聞こえません。

研究者たちはUSVの発見以来、マウスが何の目的でそれを使っているのかを議論してきました。

その中で最も可能性が高く、多くの科学者の同意を集めているのが潜在的なパートナーへの求愛表現という説です。

マウス同士でのみ聞き取れる超音波を出すことで効率的に交尾相手を見つけ、繁殖に役立てていると考えられるのです。

これは今日に至るまで最も説得力のある仮説となっています。

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超音波は本当に求愛のためなのか / Credit: canva

しかしバッファロー大学で生体音響学を研究するエドゥアルド・メルカド3世(Eduardo Mercado III)氏は新たな調査で、この仮説が正しいものではない可能性を見出しました。

メルカド氏は元々、ザトウクジラの歌を研究しており、その流れでげっ歯類の超音波発声(USV)に関心を向けています。

同氏がげっ歯類のUSVに関する既存の研究を集めてメタ分析を行ったところ、オス個体がSUVを使ってもメス個体との繁殖成功にはつながっていないことを発見したのです。

これは従来いわれてきた「超音波発声=潜在的なパートナーへの求愛表現」の仮説とは矛盾するものでした。

その一方でメルカド氏らは、超音波を発するマウスの観察研究で興味深い行動パターンを発見します。

それはマウスが超音波を出した直後、ほぼ必ずといっていいほど、すぐに「鼻をすすっている」ことでした。

これはSUVが嗅覚と何らかの関係を持っていることを暗示しています。

そこでメルカド氏らは「超音波の物理的特性」と「マウスの嗅覚」という2つのポイント考え合わせた末に、「マウスは超音波発声で空中の粒子を動かし、クラスター化させている」という説にたどり着いたのです。

一体どういうことでしょうか。また、そうすることに何のメリットがあるのでしょう?

次ページ粒子のクラスター化で「嗅覚の能力」を高めている可能性

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