インディが聖杯を見つけた遺跡「エル・カズネ」とは?
今回の発掘調査は英セント・アンドリューズ大学(University of St Andrews)、ヨルダン考古局(DoA)、そして米国の人気ドキュメンタリー番組「ディスカバリーチャンネル」らの共同で行われました。
そのため、発掘の一部始終は10月初めに同チャンネルで放送されています。
では、発掘の舞台となったペトラ遺跡について見てみましょう。
ペトラ遺跡は中東ヨルダンの死海とアカバ湾の間に位置しています。
ペトラ遺跡は1985年にユネスコの世界遺産に登録され、2007年には「新・世界七不思議」にも選出されました。
新・世界七不思議とは、世界中の有識者からの投票によって決められた現代版の世界七不思議のこと。
元々の世界七不思議は、古代人が驚異的な技術力で作ったとされる不思議な建造物を指し、ギザの大ピラミッドやバビロンの空中庭園などが含まれています。
新・世界七不思議にはペトラの他に、中国の「万里の長城」やイタリアの「コロッセオ」、ペルーの「マチュ・ピチュ」、インドの「タージマハル」など錚々たるメンツが選ばれました。
ペトラには元々、紀元前1200年頃からエドム人という先住民が住んでいました。
ところが紀元前2世紀頃にナバテア人という遊牧民族が流入し、土着のエドム人を排除してペトラに定住するようになります。
ナバテア人は砂漠を移動するキャラバン貿易によって莫大な富を得て、ペトラにナバテア王国を築きました。
(ちなみにナバテア王国は紀元後106年にローマ帝国の征服によって消滅しています)
彼らがペトラに建設した建物の中でも、最も精緻なものが「エル・カズネ(宝物殿)」と呼ばれる神殿です(上図の左)。
エル・カズネは他の建造物と同様、砂岩の岩肌を職人が彫って造られています。
そして映画『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』のロケ地に使われたのが、まさにこのエル・カズネでした。
劇中では、考古学者のインディが大富豪から「聖杯」の捜索を依頼されます。
聖杯とはイエス・キリストの血を受けたと伝えられる聖なる杯のことです。
エル・カズネでの撮影はヨルダン政府の全面協力のもと3日間かけて行われ、国王と王妃も子供を連れて毎日見学に来ていたそう。
監督のスティーヴン・スピルバーグは後のインタビューで「ヨルダンでの撮影は素晴らしいもので、政府は私たちに国を解放し、とても歓迎してくれました」と振り返っています。
そんな歴史好きにも映画好きにも縁の深いペトラのエル・カズネでとんでもない発見が報告されました。
なんとインディが訪れた場所で本当に考古学的なお宝が見つかったのです。