隠された地下墓地を発見!12体の遺骨と「聖杯」も⁈
共同研究チームは最初に、リモートセンシングスキャンを使って、ペトラ遺跡の地中に何かが埋まっていないかどうかを非侵襲的に調査。
するとエル・カズネの真下に地下室のような空間があることがわかりました。
そこでチームはヨルダン考古局の許可の下、エル・カズネの発掘作業を開始。
この作業にはディスカバリーチャンネルの人気シリーズ『冒険!世界ミステリーハンター(Expedition Unknown)』のホストで冒険家のジョシュ・ゲイツ(Josh Gates)氏もインディそっくりの格好をして参加しています。
その結果、チームも驚いたことに、エル・カズネの地下にはこれまで誰も知らなかった「隠された墓」が存在したのです。
さらに墓の中を調べてみると、全部で12体の遺骨が発見されました。
この隠された墓と遺体がいつ頃のものなのかを特定するため、セント・アンドリューズ大学で地球環境科学を専門とするティム・キナード(Tim Kinnaird)氏が堆積物サンプルから年代測定をしています。
その結果、これらの遺物は今から約2000年前の紀元前1世紀半ば以降のものであることが判明したのです。
つまり、これらの遺体はその頃にペトラを統治していたナバテア人のものとみられます。
これらのナバテア人がどのような人だったのかは不明ですが、エル・カズネの地下墓地に埋葬されていることから、かなり高位の人物だったことは間違いありません。
さらにチームが驚愕したのは、地下墓地から「聖杯」のようなものが見つかったことでした。
遺体の一人が聖杯のような容器をつかんでいたのです。
ゲイツ氏はその瞬間のことを次のように振り返っています。
「聖杯のようなものを見つけたとき、私たち全員が凍りつきました。それは『インディ・ジョーンズ/最後の聖戦』に登場する聖杯とほぼ同じように見えたからです」
まさにインディ・ジョーンズの冒険譚は単なる作り話ではなく、本当の話だったのかと誰もが思ったことでしょう。
ただ残念ながらというか、やっぱりというべきか、これは聖杯ではなく、水差しが割れてしまって聖杯のように見えていたものであることが判明しています。
それでも今回の発掘が考古学的に極めて重要であることに変わりありません。
研究者らは「ナバテア人の遺骨や彼らが残した埋葬物が回収されたことはほとんどないため、この発見は国際的に重要である」と説明。
「遺骨や埋葬物の詳しい分析から、ナバテア人や彼らの文化に関するギャップを埋めることができるかもしれない」と続けました。
また映画の舞台となったエル・カズネについても、いつどのような目的で建てられたのかなど、完全に解明されていないことがたくさんあります。
今回の発掘はその謎の答えを紐解く大きな第一歩となるでしょう。
こちらがディスカバリーチャンネルで放送された発掘調査のトレーラーです。