自己中心的な人は疎外感の緩和を求めてソーシャルメディアを使う
研究チームは、最初の調査で、199人のアメリカ人(成人)を対象に、自己中心性、FOMO、ソーシャルメディアの使用状況について、それぞれ質問票を用いて評価しました。
その結果、自己中心的な人がソーシャルメディアの使用時間を増加させるのは、承認欲求を満たすよりも、疎外感を緩和させるためだったと分かりました。
そしてこの結果を確かめるための2つ目の研究では、241人の成人が参加しました。
その結果、最初の研究と同様の結果が得られました。
さらに、より自己中心的な人だと評価された人は、より高いレベルのFOMOを示し、それがソーシャルメディアの利用を促していると分かりました。
ロバーツ氏は「この結果は、自己中心的な人がソーシャルメディアを使って自己重要感(承認欲求を含む『自分が価値ある存在だ』という感覚)のために利用するという長年の仮説に反するものだった」と述べています。
自己中心的な性格は、過剰な甘やかしや過保護、逆に厳しすぎたり十分な愛情を受けられなかったりした幼少期に形成されやすいことが分かっています。
こうした傾向を持つ人は、幼い頃から自分のことを優先しすぎるため、上手く友達ができなかったり、仲間はずれにされたりすることが多くなります。
このため、彼らは現実世界においては誰よりも疎外感を味わってきており、ソーシャルメディアによってその感情を緩和させたくなるのだと考えられます。
ソーシャルメディアで、やけに最新情報の共有にこだわっていたり、脅迫的に流行を追ってしまうような人は、これに当てはまるのかもしれません。
ただ今回の研究は、コロナ禍で実施された実験データを使用しており、社会的交流が限られていたために、参加者は全体的のFOMOのレベルは普段より高まっていた可能性があります。
それでもこの結果に、心当たりがあると感じる人も多いでしょう。
自分がソーシャルメディアに駆り立てられる原因を理解し、過度な依存を解消することは、自身の幸福のためにも重要なことです。こうしたサービスから適切な距離を持って楽しむためにも、自分が熱中する理由を考えてみるのはいいことかもしれません。