ビールを冷たいまま飲むための「最適なグラスの形状」が判明
分析の結果、ペレグリーニ氏は、飲み口が広く、底に向かって徐々に狭くなるグラスの形が冷たさを保つのに最適であることを発見しました。
この結果は、飲み進めるうちにビールの量が減っていくことも考慮されています。
飲み口ではビールと空気が接しており、そこから熱が移動しやすくなります。
しかし、底に向かって狭くなる形状であれば、飲み進めるうちに空気と接するビールの表面積が減少し、ぬるくなる速度が遅くなります。
多くの人はビールが到着するとすぐにゴクゴクと飲み始め、時間が経つにつれて飲むペースが落ちていきます。
だからこそ、そのような後半で空気と接するビールの表面積が減少するグラス形状であれば、最後まで冷たさを保ちやすくなるのです。
ヴァイツェングラス、ピルスナーグラスなどは、この理想的な形状に近いものです。
パイントグラスも理想的な形に近いものの、直線的で変化が小さいので、もう少し飲み口が広く、底が狭い方が良いと言えます。
ペレグリーニ氏は、これら伝統的なグラスが冷たさを保つ上で理にかなった形状をしていることについて、「偶然ではない」と考えています。
グラスの作り手たちが、意識的か無意識的かは分かりませんが、長い歴史の中で、熱伝導を最小限に抑え、より長く美味しいと感じるようなデザインへと進化させてきたというのです。
ちなみにこの研究では、既存のデザインで最適なグラスがどれかという議論もしています。
現代では様々な形状のグラスが販売されているため、様々な店に出向いて、これら理想的なデザインに近いものを探すのも楽しいでしょう。
ペレグリーニ氏はこうした議論の中で、「ビールを冷たいまま飲む」上でような下図のようなグラスを使用すれば、ほとんどの人は、ビールを最後まで冷たい状態で飲むことができるようだと述べています。
ペレグリーニ氏は、最初に製造した企業の名前からこのタイプのグラスを「ナディール・フィゲイレド・グラス(Nadir Figueiredo glass)」と呼んでいます。
このグラスは、ブラジルでビールを飲むのに最も広く使用されており、これまでに60億個以上製造されてきました。
しかしこれは、形状によって冷たさを保たさせているのではありません。
容量が小さく(190ml)、一口、二口で飲み干せるため、ぬるくなる前にビールが消費されるだけなのです。
そのためペレグリーニ氏は結果に反して「そのような醜い飲み方では、ビールを飲む意味が全くない」と主張しています。
なので、ある意味このグラスは最適解の1つと言えそうですが、今回の研究の趣旨から見るとこのグラスは例外になるようです。
ビールの飲み方に関する考えは様々ですが、少なくともペレグリーニ氏と同じ意見であれば、ある程度の容量があり、その上で飲み口が広くて底が狭いグラスを探すべきなのでしょう。