海世界の「ひつじのショーン」はどこにいる?
ウミウシは世界に数千種類が知られている軟体動物の「後鰓類(こうさいるい)」の一群です。
種によって様々に異なる鮮やかな体色模様を持っていることから、しばしば”海の宝石”と呼ばれています。
その数多いるウミウシの中でも、ずば抜けた可愛さを誇っているのが「テングモウミウシ(学名:Costasiella kuroshimae)」です。
テングモウミウシは白い顔に小さな黒目が2つ付いており、頭部からは2本の触覚が生え出ています。
これらは「嗅覚突起(rhinophore)」と呼ばれる器官で、海水中の化学物質を感知して餌を見つけるのに役立っています。
また彼らの全身は「セラタ(cerata)」と呼ばれる綺麗な緑色の突起で覆われています。
これは体内のガス交換のための表面積を大きくする役割があるという。
The leaf sheep (Costasiella kuroshimae) is a species of sea slug that can perfom photosynthesis using chloroplasts retained from algae they feed on.
Credot: Catrin Pichlerpic.twitter.com/IRgOO5AFCb
— Wonder of Science (@wonderofscience) March 2, 2023
こうした全体の見た目からテングモウミウシはよく羊に例えられ、特に海外では、英国アードマン・アニメーションズの大人気キャラクターである「ひつじのショーン」に似ていると言われています。
しかもラッキー(?)なことに、テングモウミウシは日本の海に生息しているので、サンゴ礁近くの浅い海でダイビングをすれば直接彼らに会えるかもしれません。
そもそもテングモウミウシは1993年に沖縄県の八重山諸島にある黒島沖で初めて発見された種であり、その後、フィリピン、インドネシア、シンガポール、タイでも報告されています。
このように、テングモウミウシは”海世界のひつじ”と呼ぶにふさわしい生き物ですが、彼らの体長は大人でも8ミリ前後しかなく、実際の羊に比べると全然大きくありません。
それでも彼らには羊にはないスーパー能力が秘められているのです。