画像
Credit: ja.wikipedia
biology

【恐怖の楽園実験】飢えも天敵もない閉じた楽園で暮らすと生物はどうなるのか? (2/3)

2025.01.16 07:00:14 Thursday

前ページ飢えも病気も天敵もいない「楽園実験」の始まり

<

1

2

3

>

群れが誕生し、マウス同士の争いが勃発!

フェーズ1の後、楽園のマウスの数はそれこそネズミ算式に爆増し続けました。

最初の楽園ペイビーが生まれてから平均55日ごとに個体数が倍増していったのです。

20匹だったものが40匹、40匹だったものが80匹、80匹が160匹、320匹、620匹となっていきました。

この時点では、大人マウスの数に対して子供マウスの方が3倍以上多い割合となっています。

そして数が増えた楽園では次第に「マウスの群れ」がいくつも形成され始めました。

特定のスペースでマウスが集団を作り、同じ生活リズムで暮らすようになったのです。

その規模は群れごとに異なっており、10匹ちょっとしかいない小さな群れもあれば、100匹以上の大所帯もありました。

これはカルフーンに言わせると「マウスの社会が形成された」ことを意味しています。

画像
マウス同士で群れを形成/ Credit: canva

ただ社会が形成されたということは、次に起こる展開も想像できますよね?

そう、集団内での地位争いや別の群れ同士での縄張り争いが勃発し始めたのです。

当然ながら、この仁義なき戦いに勝つマウスもいれば、負けるマウスも出てきます。

そうして今までみんなが平等であったはずの楽園に「カースト(階級)」が生じたのです。

まず、オスのカーストは主にA〜Eの5つのランクに分類できました。

一番最上のAランクは、最強の戦闘力と最高の地位を獲得した「アルファタイプ」です。

アルファオスはその圧倒的なオーラからか、他のオスとの喧嘩もあまりせず、どっしりと構えています。

しかしBランクの「ノーマルタイプ」はアルファよりも喧嘩っ早く、仲間とも外敵ともガンガン喧嘩をしていました。

戦いの数が多いほど負けることもあるため、ノーマルオスの地位は割と不安定な状態にあります。

3番目のCランクは「日和見タイプ」で、性格が非常に穏やかであり、戦いにはほとんど参加せず、他のマウスから攻撃されても反撃はしませんでした。

4番目のDランクは「ストーカータイプ」で、日和見タイプと同じく穏やかではありますが、気になる相手はしつこく追い回すストーカー気質を持っています。

そして最下位のEタンクは「引きこもりタイプ」で、他の誰が何をしていようと「ワレ関せず」で、常に自分の棲み家に引きこもっていました。

食事も他のマウスが寝ている隙にササッと済ましています。

マウスの間でもこれだけ人間のような多様な性格の違いが出るのは面白いですね。

画像
マウスの社会にもカーストが発生/ Credit: canva

それでオスの勝ち組に当たるカースト上位者はAとBで、かなり広いスペースを少数で独占していました。

オスの負け組にあたるカースト下位者はCDEで、楽園の主に中央スペースに密集し、ごった返した状態で暮らしていました。

他方で、メスのカーストはAとBの2つだけでした。

上位Aはアルファオスが築いたハーレムの一員であり、そのおかげで広い棲み家にゆったりと暮らしていました。

旦那が金持ちの奥様タイプとイメージするといいでしょう。

しかし下位BはC〜Eランクのオスのパートナーとなったメスたちであり、狭い場所で窮屈な暮らしを強いられていました。

こちらは団地住まいの母ちゃんタイプとひとまずイメージしておきましょう。

このように群れが誕生して、カースト制度が確立されるまでで315日が経過しており、カルフーンはこの期間を「フェーズ2:社会形成期」と名付けました。

しかし「楽園」が本当の意味で「地獄」に変わるのはここからです。

次ページ楽園が地獄に変わる「終末期」へ

<

1

2

3

>

人気記事ランキング

  • TODAY
  • WEEK
  • MONTH

Amazonお買い得品ランキング

スマホ用品

生物学のニュースbiology news

もっと見る

役立つ科学情報

注目の科学ニュースpick up !!