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ミニムーンは本当に「月の一部だった!?」 / Credit:Canva
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ミニムーンだと思った小惑星が「本当に月の一部だった」

2025.01.28 11:30:18 Tuesday

2024年8月、南アフリカの望遠鏡によって発見された小惑星「2024 PT5」が、科学界に大きな話題をもたらしています。

一見すると、地球近くを通過する他の小惑星と変わりませんが、この天体は特別です。

最新の研究によれば、2024 PT5は月面の衝突によって放出された「月のかけら」である可能性が高いことが明らかになったのです。

この研究は、米国アリゾナ州にあるローウェル天文台(Lowell Observatory)のセオドア・カレタ(Theodore Kareta)氏を中心とする国際研究チームによって行われました。

彼らはNASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)やメリーランド大学(University of Maryland)とも協力し、2024 PT5の軌道やスペクトルを分析し、その結果を報告しています。

この研究の成果は、2025年1月20日付の『Astrophysical Journal Letters』誌に掲載されています。

Study Finds Earth’s Small Asteroid Visitor Likely Chunk of Moon Rock https://www.jpl.nasa.gov/news/study-finds-earths-small-asteroid-visitor-likely-chunk-of-moon-rock/
On the Lunar Origin of Near-Earth Asteroid 2024 PT5 https://dx.doi.org/10.3847/2041-8213/ad9ea8

小惑星「2024 PT5」は、月の一部だった!?

地球の周囲を回る天体といえばが思い浮かびますが、実はごく稀に地球の重力に一時的に捕らえられる小さな天体が存在します。

これらは、その軌道から”ミニムーン”と呼ばれることがあり、「2024 PT5」もその名で呼ばれていました。

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小惑星「2024 PT5」のイメージ。/ Credit: NASA/JPL-Caltech

この地球近傍小惑星「2024 PT5」は、直径が約10メートルであり、スクールバスほどの大きさです。

2024年9月から11月にかけて、2024 PT5は地球を数週間にわたり周回し、その後、地球の重力圏から脱出して、再び太陽を周回する自由行動に移りました。

このような現象は極めて珍しく、観測のチャンスも限られていることから、人々の関心を集めました。

では、一時的に地球を周回する小惑星は、どこから来るのでしょうか?

これまで地球近傍小惑星の多くは、火星と木星の間にある小惑星帯から来ると考えられてきました。

しかし、2024 PT5の軌道や物質的特性は、この常識では説明がつきません。

自然の天体であるにもかかわらず、地球に非常に近い軌道を長期間維持しており、外来天体としては異例の特徴を持っていたのです。

そこで今回、カレタ氏ら研究チームは、2024 PT5の正体を明らかにするため、天体の反射スペクトルを調べました。

この手法では、天体の表面がどのような物質で構成されているかを特定できます。

彼らは、アポロ計画やルナ計画で持ち帰られた月の岩石サンプルと2024 PT5のスペクトルを比較しました。

その結果、2024 PT5の表面組成が月面の岩石と驚くほど一致することが判明しました。

この小惑星には、月に見られる「ケイ酸塩の鉱物」が豊富に含まれていることが確認されたのです。

一時期、「ミニムーン」などと呼ばれ、話題になっていた「2024 PT5」は、本当に月の一部だったかもしれないのです。

そしてその可能性は、もう1つの調査によってより真実味を帯びてきました。

次ページ2024 PT5は「小惑星帯から来たのでも、人工物でもない」

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