相手の「無知」を見抜くように進化したのはいつか?
![ボノボは人間が「知らないことを知っている」と助けてくれる](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/1280-x-670-px2024-2025-02-05T080201.971-900x471.jpg)
過去の文献では、類人猿が相手の知識を「行動のシグナル」からだけ推測しているのか、それとも「心的状態」として推測しているのかが議論されてきました。
つまり、「相手が探しているから助ける」のか、それとも「相手の心を推し量って助ける」のかが謎だったのです。
しかし今回の研究では、透明なガラス越しに隠す場合と、不透明なガラス越しに隠す場合を比較し、ボノボが「相手が見えていなかった=知らない」という内面状態を推測して行動を変えていることが示されました。
これは、人間の視点と自分自身の知識を分けて認識し、「自分は知っているが、相手は知らない」という二つの情報を同時に保持できる可能性を示しています。
人間とボノボは、約600万〜800万年前に共通の祖先を持つとされます。
今回の結果は、「他者の無知を推定してコミュニケーションを取る」という能力が、予想よりも古い段階から存在していたかもしれないことを示唆しています。
人間特有だと思われていた「心の理論に基づく協力や調整」は、実はずっと以前から脈々と受け継がれているのかもしれません。
この発見は、「ヒトと他の類人猿の違いは何か」「共通の認知基盤はどこまで存在するのか」という進化論的な問いに、新たな光を当ててくれます。
今後は、さらに詳しい実験や野生での観察、脳画像研究などを通じて、ボノボを含む類人猿たちの“心の理論”がどこまで複雑な認知を含んでいるのかが解明されていくでしょう。
私たちの「教える」「助け合う」という行動のルーツを、ボノボたちがさらに教えてくれる日も、そう遠くないのかもしれません。