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チップを支払うときの圧力の強さで、再来店率が変わる / Credit:Canva
psychology

日本人には理解しづらい「チップ制度」実際海外の人も圧を感じて嫌がっていた (2/2)

2025.02.12 11:30:24 Wednesday

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チップ支払い時、顧客は「見られると払ってしまう」が、「再来店率」は下がる

研究チームは、実際の店舗でフィールド実験を行い、さらにオンライン実験でより詳細な心理的メカニズムを分析しました。

フィールド実験では、アメリカのあるビールパブで、2種類のPOS端末を使用し、顧客の反応の違いを分析しました。

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プレッシャーの異なる2つの支払いで、顧客の反応の違いを調査 / Credit:Nathan B. Warren(BI Norwegian Business School)et al., Journal of Business Research(2024)

1つは店員が持つハンドヘルド端末(低プライバシー)、もう1つはカウンターに固定されたカウンタートップ端末(高プライバシー)でした。

店員がもつハンドベル端末からチップを選択する顧客は、店員の視線や雰囲気、独特の間により、「チップを支払うように」という無言の圧力を強く感じることになります。

実験の結果、ハンドヘルド端末を使用した場合のほうが、チップの額が平均1.3%高くなることが判明しました。

しかし、再来店率はカウンタートップ端末を使用した場合よりも約25%低下していました。

つまり、「チップの圧力」でその場の収益は増えるが、長期的には顧客を遠ざける 可能性があるのです。

次に研究チームは、オンラインでのシミュレーション実験を通じて、顧客の心理的反応を分析しました。

その結果、チップを支払うとき、店員が見ている状況では、 多くの人が「強制されている」「自由に決める権利が奪われた」「チップを支払っても寛大な気持ちになれない」と感じることが分かりました。

特に、「強制された」と感じた顧客は、その店に戻る意欲が大幅に低下すると判明しています。

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チップを支払う際に強い圧力を受けると、顧客は再び来店しなくなる / Credit:Canva

今回の研究は、「チップの圧力」がビジネスに与える影響を示した画期的なものです。

「チップを支払うように」という圧力が強いと、短期的には売上が向上するかもしれません。

しかし、顧客は「強制的にチップを支払わされた」と感じるため、その店を避けるようになり、長期的には収益が落ちる可能性が高いのです。

この研究は、チップ文化が根付いている国々だけでなく、日本にとっても興味深い示唆を与えます。

日本では、飲食店やホテルなどでサービス料があらかじめ料金に含まれているため、チップを支払う必要がありません。

そのため、顧客は会計時に心理的プレッシャーを感じることなく、支払いを終えることができます。

もちろんチップ文化には、スタッフに「良いサービスを提供する」というプロ意識が育まれるなど、様々な利点があります。

こうした文化的な違いは、日本と海外のサービス業の在り方を比較する上で興味深い視点を提供してくれます。

あなたは「チップの文化」はあった方が良いと思いますか?それとも無い方が良いですか?

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日本人には理解しづらい「チップ制度」実際海外の人も圧を感じて嫌がっていた (2/2)のコメント

ゲスト

ない方がいいでしょう。
クルーズ船のように最初から会計に含めておけばいい話ですし、個人的にもらいたいなら個人的にそういう事していればいいわけで。
もらえて当然思われても困るというか…。

ゲスト

アメリカ人自身の不満もよく見るし、
大手のチェーンがやめますって言ったら一気になくなりそうだけどね。

ゲスト

チップのような
従業員の賃金を直接的な形で客に負担させる慣習は
今後廃れていくでしょうね

ゲスト

チップにはサービスを向上させる効果があるという主張がありますけど実際どうなんですかね。相反する研究があるようですが。

ゲスト

愛想いい従業員とかなら、ちょい多めに払うだろうけど、
そうでない相手なら気まずそう。

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