「神の薬アヘン」の発見
シュメール人はティグリス川とユーフラテス川の間に移り住み、世界最初の文明であるメソポタミア文明を興しました。
そこで彼らは不思議な力を持つ植物を発見します。
シュメール人たちはそれを「喜びをもたらす植物」という意味の「フル・ギル」と呼びました。
![画像](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/Papaver_somniferum_2021_G3-730x600.jpg)
フル・ギルの正体は「ケシ」の一種であり、その実を絞ると乳白色のぬるっとした液体が採取されます。
シュメール人はこの乳白色のぬるっとした液体を口にすると、体の痛みが消え去り、夢見心地のうっとりとした気分になれることに気づきました。
そうして彼らはケシの実から採れる乳白色の液体を乾燥させた薬を作ります。
これが「アヘン」です。
シュメール人たちはこれを太陽神ラーの頭痛を癒すために女神イシスが与えた贈り物だと信じました。
アヘンはその後、どんどん世界へと広まっていきます。
![画像](https://nazology.kusuguru.co.jp/wp-content/uploads/2025/02/Malwapoppy-879x600.jpg)
古代ギリシャでは、あらゆる病気を治すための万能薬としてアヘンが使用されました。
不眠症や頭痛、めまい、難聴、てんかん、脳卒中、弱視、発熱などなど、挙げればキリがありません。
その一方で、当初から人々はアヘンに危険な一面があることにも気づいていました。
それは「中毒性が高いこと」と「服用量が多すぎると死んでしまうこと」です。
医師の中には危険視する者もいましたが、人々はアヘンの神がかった効能に魅入られてしまい、アヘンを手放すことはできませんでした。
17世紀のイギリスの医師トマス・シデナムは「全能の神が苦しみを和らげるために人間に与えた治療薬の中でも、アヘンほど万能で効き目のあるものはない」との言葉を残しています。
こうして「神の薬アヘン」という考えが世界中に浸透しました。
そして人類はアヘンをきっかけに戦争まで起こしてしまうのです。