野生の魚がダイバーを見分けるように
実験は地中海にある研究施設の近く、水深8メートルの場所で実施されました。
この場所には以前から研究者たちがフィールドワークのために訪れており、野生の魚たちも人間の存在に慣れています。
実験ではまず、ダイバーが餌を与えることで魚を誘導し、魚が特定のダイバーを追うように訓練しました。
トレーニングでは、研究主任の一人であるカティンカ・ソラー(Katinka Soller)氏が視覚的に目立つ赤いベストを着用し、50メートルの距離を泳ぎながら魚に餌を与えました。
その後、徐々に視覚的に目立つ特徴を減らしていき、最終的には、普通のダイビング装備を着用して餌も隠し、魚が50メートルを追跡した場合のみ餌を与えるようにしました。
すると、特に2種類のタイが毎日積極的にトレーニングに参加するようになりました。
研究者たちは、識別しやすい20匹ほどの個体に名前をつけるほどでした。(背中に銀色のウロコが2枚光るバーニーや尾びれが少し欠けているアルフィーなど)

次の段階では、同チームのメラン・トマセク(Maëlan Tomasek)氏も参加し、ソラー氏と異なるダイビング装備を着用して、別々の方向へ泳ぐ実験を行いました。
この場合、トマセク氏は魚たちに餌を与えません。
すると驚くことに、魚たちは餌をくれるソラー氏を正しく見分けて、後をついていくことがわかったのです。
そこでチームは、ダイビング装備の違いが魚の判断に影響しているかどうかを確認するため、ソラー氏とトマセク氏をまったく同じ装備にしてみました。
その結果、魚たちは2人を識別できなくなり、どちらにもバラバラについていくようになったのです。
これらの結果から、魚たちはダイバーの装備の色や形を手がかりに識別している可能性が高いことが示されました。

水中では人間も同じように仲間を見分けるため、外見的特徴を手がかりにしています。
ソラー氏は「ダイビングマスクによって顔の形が歪んで見えるため、私たちは通常、ウェットスーツやフィン、その他の装備の違いを頼りにお互いを識別しているのです」といいます。
研究者たちは、時間をかければ魚たちもより微細な特徴(例えば、顔つきや体型、髪型、手の形など)を識別の手がかりにすることを学習できるかもしれないと考えています。
ソラー氏は「実際、魚たちが私たちの顔に近づき、体をじっくり観察する様子を何度も目にしました」と指摘。
その上で「私たちが魚を研究しているのではなく、魚が私たちをじっくり研究しているようでした」と話しています。
この研究は「魚と人間の関係」に対する新たな視点を提供します。
私たちは犬や猫などの哺乳類とは深い絆を築いてきましたが、進化的に遠く離れた魚とも何らかの関係を築ける可能性があるのです。
ダイビングを趣味にする方は同じスポットを頻繁に訪れていれば、そこに住む地元の魚たちがあなたを識別して、近寄ってくるようになるかもしれません。
また水族館に頻繁に通って、同じ水槽の魚たちに挨拶していれば、向こうもあなたを覚えてくれるようになるかもしれませんね。
こちらは研究の概要を説明した動画になります。(※ 試聴の際は音量にご注意ください)
面白い研究内容けど
魚を食べるのは可哀想だみたいに騒ぐ人が出なければ良いが
日本にもコブダイの頼子さん居たよな
デカいほど鳥と同じで賢いと思うわ