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人間の脳をクラウド化できる未来は来るのか?

2025.03.01 13:00:05 Saturday

もし、人間の脳がクラウドに接続できたら——?

私たちは身体を持たなくても思考を続け、どこからでもアクセス可能な「デジタル意識」として存在できるかもしれません。

このようなアイデアは長年、SF作品の中で描かれてきました。しかし、最近の研究では、脳とクラウドコンピューティングをつなぐ技術は、着実に実現に向けて進歩していることがわかります。

たとえば、ナノロボットを使って脳とクラウドをリアルタイムで接続する構想や、人間の脳細胞を利用した「バイオコンピュータ」などは、単なる空想ではなく科学的な根拠に基づいて論文として提案されています。

では、本当に脳のクラウド化は実現可能なのでしょうか? 現代の科学がどこまで来ているのかを探ってみましょう。

Brain organoids show promise as bio-computershttps://www.sciencedaily.com/releases/2023/02/230228075739.htm
The Brain/Cloud Interface: The Future of Neuroscience and Artificial Intelligence Integrationhttps://doi.org/10.3389/fnins.2019.00112 Digital Twin Brain: a simulation and assimilation platform for whole human brainhttps://doi.org/10.48550/arXiv.2308.01241

脳とクラウドの融合がもたらす可能性

① 「ナノロボット×クラウド脳」——脳がインターネットに繋がる未来

ニューロン (青い突起) とグリア細胞 (白い細胞) のイメージイラスト/Credit:Robert A. Freitas Jr. et al., Frontiers in Neuroscience (2019),

現在、有望視されている提案の1つが「ナノロボットによる脳-クラウドインターフェース」です。

2019年に発表された研究(Frontiers in Neuroscience)では、「ニューラルナノロボット(Neural Nanorobots)」という超小型のロボットを血液中に送り込み、脳神経と直接結びつけることで、外部のクラウドネットワークとリアルタイムで情報交換を行う可能性が示されました。

グリア細胞に取り付くロボットのイメージ/Robert A. Freitas Jr. et al., Frontiers in Neuroscience (2019)

このシステムが完成すれば、人間の思考はクラウド上のスーパーコンピューターと瞬時に同期できるようになるという。たとえば、以下のような応用が考えられます。

  • 記憶のバックアップと共有:自分の記憶をデジタル化し、他者と共有する。
  • 知識のダウンロード:言語やスキルを脳に直接インストールする。
  • テレパシー的通信:言葉を使わずに思考のみで他人と会話する。

これはまるで「攻殻機動隊」のような世界ですが、理論的には決して不可能ではないようです。

② 人間の脳細胞がコンピュータ動かす?「バイオコンピュータ」の可能性

2023年のジョンズ・ホプキンス大学の研究では、さらに驚くべき技術が報告されています。

それは、「人間の脳細胞を用いたコンピュータ」の開発です。

ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、培養した脳細胞(オルガノイド)を使って、従来のシリコンチップよりも効率的なデータ処理が可能になることを示しました。

これは、コンピュータが単なる電子回路ではなく、「生物的なプロセッサ」へと進化しつつあることを意味します。

この技術が進化すれば、「人間の脳をそのままデジタル化する」のではなく、「脳そのものをデジタルコンピュータとして活用する」という新たなアプローチが現実になるかもしれません。

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