若い男性の脳はどのようにガラス化したのか
通常、有機物は高温で燃え尽きるか、炭化します。
ガラスが自然に発生することなどめったにないのです。
ガラスが自然に形成されるには、高温で有機物が液化し、その後結晶化しないほど急速に冷却される必要があります。
これを実現するには、物質と周囲の温度差が大きくなければならず、物質は周囲よりもかなり高い温度で固体になる必要があります。

研究チームが今回のガラス化した脳を分析した結果、少なくとも510℃以上に加熱された後、急速に冷却されなければいけないことが分かりました。
彼らは、「ヘルクラネウムを埋めた火砕流だけで死者が加熱されたのであれば、このようなことは起きなかったはずだ」と指摘しています。
なぜなら火砕流の温度は465℃を超えることはなく、しかもゆっくりと冷却されたはずだからです。
そのため研究チームは、現代の火山噴火の観測結果に基づいて、「この遺体の脳は、超高温の火山灰雲によってガラス化した」と考えています。
彼らはまた、「今回の研究結果は、材料科学、火山学、法医学、考古学に幅広い影響を与えるはずだ」と付け加えています。