約35億年前の「世界最古のクレーター」を発見
研究チームは、ピルバラ地域にあるノースポール・ドームという地層を詳細に調査しました。
特に注目したのは「シャッターコーン(shatter cone)」と呼ばれる特殊な岩の形状です。
シャッターコーンは、隕石が地表に衝突した際に発生する極端な圧力によってのみ形成される特徴的な岩石構造で、隕石衝突の決定的な証拠とされています。
さらに今回見つかったシャッターコーンには、「スフェルール」と呼ばれる微小な球状構造も含まれていました。
スフェルールは、隕石衝突の際に岩石が溶けて空中に飛び散り、急速に冷却されて固まることで形成されるものです。
そしてチームの詳細な分析により、新たに見つかったこれらの証拠は、約34.7億年前に時速3万6000キロの速度で隕石が衝突し、直径約100キロに達するクレーターを形成したことを示していると結論づけられました。
これはヤラババ・クレーターを10億年以上も遡る世界最古の記録となります。

これまでの研究では、隕石衝突が大陸の形成や、生命の誕生および進化に関与した可能性が指摘されてきました。
特に、巨大隕石が地球に衝突することで、
・地殻が押し下げられたり、マグマが上昇したりして、大陸の基盤が形成された
・隕石衝突によって生じた熱水環境が、生命誕生の場になった
といった説が提唱されています。
ただ、これらの仮説を裏付ける証拠はほとんどなく、特に太古代(約40億年前~25億年前)の隕石衝突に関する物的証拠は見つかっていませんでした。
しかし新たに見つかった世界最古のクレーターは、隕石衝突が太古代における大陸の形成や生命の進化に果たした役割をより深く理解するための貴重な情報源となります。
今後、ピルバラ地域の他の場所でも、同様の隕石衝突の痕跡が見つかる可能性があり、さらに古いクレーターの発見も期待されています。
約35億年前、地球に落下した隕石は単なる自然災害に留まらず、大陸形成や生命進化の引き金になったのかもしれません。