眼球までクッキリ!完璧な保存状態
魚の化石と聞いて、骨だけが残されたものを想像する方が多いかもしれません。
しかし今回見つかった「フェルアスピス・ブロクシ」は、単なる骨の標本ではありません。
研究チームは豪ニューサウスウェールズ州にあるマグラス・フラット(McGraths Flat)という場所で、この新種の古代魚の化石を発見しました。

マグラス・フラットは鉄分を多く含む鉱物「ゲーサイト」の豊富な場所です。
このことは学名にも反映されており、フェルアスピスはラテン語で「鉄」を意味する「ferrum」から来ています。
そしてフェルアスピス・ブロクシの化石標本は、全身の形態から尾ビレ、眼球までも完璧にとどめていたのです。

フェルアスピス・ブロクシは、アユ・シシャモ・シラウオ・ワカサギなどを代表とするキュウリウオ目に属する魚であることが特定されました。
キュウリウオ目は今日のオーストラリアにも広く分布していますが、これまで古い化石証拠がなかったため、このグループがいつオーストラリアに到達したのかよくわかっていませんでした。
しかしフェルアスピス・ブロクシの存在から、少なくとも1500万年前にはこのグループがオーストラリアの淡水系で繁栄していたことが伺えます。
さらに驚きはここからでした。
フェルアスピス・ブロクシの化石は皮膚の色素や胃の内容物、さらには寄生生物の存在までも残していたのです。