夜行性のハンターだったと判明?
化石標本の色素分析から、研究チームはフェルアスピス・ブロクシが背中側は濃い暗色で、お腹側は薄くて淡い色をしていたことを突き止めました。
これは「カウンターシェーディング」と呼ばれる保護色であるといいます。
大型魚のような天敵は水面付近を泳ぐ小型魚を下側から狙うことが多々あります。
しかし、お腹が薄くて淡い色をしていると、空から差し込んできた太陽光により白飛びしてシルエットになりにくく、天敵のいる下側からは獲物が見えづらくなるのです。
また体の側面には2本の横縞が入っていたといいます。

加えて、フェルアスピス・ブロクシは胃の内容物までも残しており、生前に何を食べていたから明らかになりました。
それによると、この個体は小さなユスリカの幼虫を好んで食べていたようです。
これらは日中は湖底に隠れ、夜になると水中を漂う習性を持つことから、フェルアスピス・ブロクシも夜行性の捕食者だったと考えられています。
また尾ビレには「グロキディウム(glochidium)」と呼ばれる淡水貝の幼生が付着していました。
これらの生物は魚のヒレに”ヒッチハイク”することで、川を移動する習性を持っているのです。
今回の研究は、単なる魚の新種発見にとどまりません。
色彩、食性、寄生関係、進化的位置、そして生態系とのつながりまでもが1体の化石から読み取れるという点で、極めて画期的な成果です。
こうした保存状態の良い化石が今後も見つかれば、古代の生態系を「再構築する」ことが現実味を帯びてきます。
1500万年前の小さな魚は、現代を生きる私たちに、過去の自然の豊かさと、そこから学ぶべき未来のヒントを教えてくれているのです。
浪漫があるなぁ
す…すげぇ