マラリアの根絶に繋がる「人間型殺虫剤」という発想

実はこの「血を毒にして害虫を倒す」という考え方は、獣医分野ではすでに存在しています。
家畜が寄生虫を寄せ付けないよう、イベルメクチンのような薬を投与し、血液を通じて害虫を駆除するのです。
人間に応用された例としても、近年イベルメクチンが「人間の血を吸った蚊が死ぬ薬」として研究されてきました。
しかし今回のニチシノンは、イベルメクチンよりも
- 血中での持続時間が長い
- 低用量でも致死性が高い
- 殺虫剤耐性の蚊にも有効
という点で、より優れた“人間型殺虫剤”となる可能性を秘めています。
マラリアは、世界中で年間60万人以上が命を落とす深刻な感染症です。
この病気の根本的な対策は「蚊を減らすこと」ですが、殺虫剤耐性や環境問題から従来の方法には限界がありました。
ニチシノンのような内服薬による方法は、人間の体を“動く防虫装置”にするという全く新しいアプローチであり、 感染地帯に住む人々や渡航者、医療スタッフの感染リスクを大きく下げることが期待されます。
未来の「飲む蚊よけ」が日常になる?
この研究が進めば、いずれは「蚊の多い地域に行く前に、ニチシノンを一錠」という時代が来るかもしれません。
子どもや妊婦のマラリア対策、観光地・紛争地での予防策、災害時の感染拡大防止など、活用の幅は計り知れません。
こうした対策は世代交代の早い昆虫にとって、人間の血を吸わないという進化を促す可能性さえあります。
そしてなによりも感動的なのは、本来は数万人に1人しか使わないような薬が、数億人を救う可能性を持っていたという事実です。
科学とは、本当に予想外の場所から革命が生まれるものです。
もしかしたら次の夏、あなたの血が蚊にとって“毒”になる日が来るかもしれません。
その薬に人間に対する毒性とか副作用とかないのかって言う問題が。
これは当然マラリア原虫にも効くんですよね?
そうじゃなかったら薬飲む人は自分は助からずに人を助けるだけになるけど
これ飲んでも蚊の数を減らすことで副次的にマラリアを減らすことにはつながるけど、直接マラリアの予防にはならないのでは?
一回は食われる必要があるのか…