頭から?尾から?胎児の出産の方向も明らかに
CTスキャンによりフィオナの体内が詳細に可視化された結果、1体と思われていた胎児が実は2体であったことが判明しました。
この双子の胎児は母体の肋骨と肋骨の間にそれぞれ位置しており、1体ずつ異なる角度で収まっていたことから、明確に2体と判断されました。
また、注目すべきは出産の方向性です。
初期の魚竜は胎児を頭から出産していたと考えられていましたが、フィオナの胎児の配置から、本種は尾から出産していたことが示唆されています。
これは現代のイルカやクジラと同様の適応で、水中出産時に窒息のリスクを減らす有利な形態とされています。
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さらにフィオナの消化管からは小型魚類の骨の断片が確認されており、彼女が最後に食べた獲物だった可能性があります。
これは白亜紀の魚竜の食性を示す貴重な直接証拠であり、単なる骨格標本では分からない行動的な側面にも光を当てるものです。
今回の発見は、死の瞬間をそのまま封じ込めたかのような化石が、1億年以上の時を経て語りかけてくるという、まさにタイムカプセルのような事例となりました。