10分で覚醒、60分で再加速:ビタミンB1誘導体の特殊な覚醒パターン

実験では成体オスのラット6匹を用い、頭蓋に極小ネジ電極を装着して脳波(EEG)を、首筋にワイヤを挿入して筋電図(EMG)を記録しました。
ケージの四面に配置した赤外線センサーで自発運動をミリ秒単位で追跡しました。
まず全個体に生理食塩水を注射し、静かな標準状態を取得しました。
翌日、同じ時刻にTTFDを50 mg/kgの用量で腹腔内投与し、投与後10〜90分を主観測窓として解析しました。
投与約10分後、ラットの運動量が急増し、20分ほどで一度落ち着いたのち、60分付近で再びピークが現れる「二峰性パターン」が記録されました。
結果、90分間の総運動量は通常群の約3倍に達しました。
さらに同じ時間帯に脳波では覚醒を示す低振幅・高速波が増え、SWSは平均30%減少、REMは平均40%減少しました(n=6、p<0.05)。
覚醒時間と運動量の相関係数は0.80で、行動と脳状態が同期していることが確認されました。
さらにEEGを翌朝まで継続したところ、夜間に睡眠時間が著しく増えるリバウンドは検出されず、総睡眠量と波形の質はほぼ通常範囲に収まりました。
(※注意:永遠に眠気と決別できるわけではありません。)
TTFDは過去の薬理データで6〜12時間以内に8割が代謝・排泄されると報告されており、薬効期間と覚醒延長が概ね一致しました。
つまり「効いているあいだだけ自然にシャキッとして、切れたらスムーズに通常運転へ戻る」というわけです。