筑波大学が覚醒し続けても「眠気の借金」は溜まらない物質を特定
筑波大学が覚醒し続けても「眠気の借金」は溜まらない物質を特定 / Credit:clip studio . 川勝康弘
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筑波大学が覚醒しても「眠気の借金」は溜まらない物質を特定 (2/3)

2025.04.18 21:00:30 Friday

前ページラットで証明する超速覚醒

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10分で覚醒、60分で再加速:ビタミンB1誘導体の特殊な覚醒パターン

10分で覚醒、60分で再加速:ビタミンB1誘導体の特殊な覚醒パターン
10分で覚醒、60分で再加速:ビタミンB1誘導体の特殊な覚醒パターン / TTFDを投与されたラットは明らかに運動量が増加しています/Credit:ビタミンB1誘導体には覚醒を誘導する効果がある

実験では成体オスのラット6匹を用い、頭蓋に極小ネジ電極を装着して波(EEG)を、首筋にワイヤを挿入して筋電図(EMG)を記録しました。

ケージの四面に配置した赤外線センサーで自発運動をミリ秒単位で追跡しました。

まず全個体に生理食塩水を注射し、静かな標準状態を取得しました。

翌日、同じ時刻にTTFDを50 mg/kgの用量で腹腔内投与し、投与後10〜90分を主観測窓として解析しました。

投与約10分後、ラットの運動量が急増し、20分ほどで一度落ち着いたのち、60分付近で再びピークが現れる「二峰性パターン」が記録されました。

結果、90分間の総運動量は通常群の約3倍に達しました。

さらに同じ時間帯に脳波では覚醒を示す低振幅・高速波が増え、SWSは平均30%減少、REMは平均40%減少しました(n=6、p<0.05)。

覚醒時間と運動量の相関係数は0.80で、行動と脳状態が同期していることが確認されました。

さらにEEGを翌朝まで継続したところ、夜間に睡眠時間が著しく増えるリバウンドは検出されず、総睡眠量と波形の質はほぼ通常範囲に収まりました。

(※注意:永遠に眠気と決別できるわけではありません。)

TTFDは過去の薬理データで6〜12時間以内に8割が代謝・排泄されると報告されており、薬効期間と覚醒延長が概ね一致しました。

つまり「効いているあいだだけ自然にシャキッとして、切れたらスムーズに通常運転へ戻る」というわけです。

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