二次試験:基礎能力テスト

膣内の関門をくぐり抜けた精子が次に直面するのは、子宮の入口である子宮頸管です。
ここには粘液が満ちていて、普段は精子や細菌の侵入を防ぐ“フィルター”のような役割を果たしています。
しかし排卵期が近づくと粘液がゆるみ、精子にとって通りやすいルートに変化。
それでも粘液の流れが強いため、泳ぐ力の弱い精子はこの段階で足止めされてしまいます。
さらに近年の研究では、子宮頸管の内壁には“マイクログルーブ”と呼ばれる細い溝があり、この溝を上手に泳げる精子ほど子宮までたどり着ける可能性が高いとわかってきました。
要するに、運動性能に優れた精子しかここを突破できないのです。
就活にたとえれば、基礎的な健康や運動能力のテストと言えます。
膣内(応募受付)をくぐった大量の“応募者”のうち、基本条件をクリアする精子だけがここでふるい落とされずに通過できるのです。
実際、子宮の奥へ到達できる精子は最初の数億匹中ほんのわずか。
就職活動のES選考と同じように、ものすごく狭き門だというわけですね。
こうして体力テストを通過した精子たちだけが、次なる“面接会場”ともいえる子宮へと向かうことになります。