土の健康をどうやって「見える化」する?
農業において、土壌の状態を知ることは非常に重要です。
窒素やリンなどの栄養素の量、重金属や汚染物質の有無、これらはすべて作物の成長に直結します。
従来は土を採取して分析するか、高価なセンサーを設置するしかありませんでした。
しかし、これらの方法は手間がかかる上に、大規模な農地全体をリアルタイムで把握するには不向きでした。
そこで研究者たちは考えました。
「もし土の中に住むバクテリア自体がセンサーとなって働き、土の栄養状態に応じて目に見える信号を出してくれたらどうだろうか?」

しかも、それが遠くからでも確認できるなら、大規模な農地管理にも応用できます。
こうした方法は以前にも試されていますが、従来のバクテリアセンサーは蛍光タンパク質などを使うため、顕微鏡で観察しなければならず、遠距離での検出は困難でした。
この問題を乗り越えるため、MITの研究チームは新たなアイデアに挑戦しました。
それが「ハイパースペクトルレポーター(hyperspectral reporters)」という技術です。
これは単なる赤や緑といった色ではなく、数百種類もの異なる波長の光を細かく捉える技術です。
これを利用すれば、通常では見えない微妙な色の違いも、遠く離れた場所から検出できるというのです。