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脳波検査の常識が覆る「髪の毛」みたいな電極が登場 / Credit:(左)Canva,(右)Penn State
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脳波検査の常識を覆す「髪の毛」みたいな極細電極が開発される (2/2)

2025.05.08 06:30:34 Thursday

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驚異の耐久性と伸縮性!「髪の毛型」電極は幅広い可能性を秘めている

研究チームは、実際にこの「髪の型」電極を被験者の頭部に装着し、さまざまなテストを行いました。

まず注目すべきは、その電気的安定性です。

通常、電極と皮膚の間に生じる電気抵抗(インピーダンス)が高いと、脳波の信号はノイズに埋もれてしまいます。

しかしこの電極では、頭髪がある頭皮上においてもインピーダンスが安定していました。

次に、長時間の装着耐性についてです。

被験者が日常生活を行いながら24時間連続で装着した状態でも、電極は剥がれることなく密着し続け、インピーダンスの変化もほとんど見られませんでした。

さらに、耐久性と伸縮性の試験も実施されています。

電極に対して100回の引っ張り(最大10%の伸張)を行った後でも、電気的特性に大きな変化はなく、安定した信号取得が可能であることが示されました。

また、一時的に最大200%までの伸張に耐えられることも確認されており、日常的な動作や摩擦に強いことが実証されています。

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髪の毛のような電極は、目立たないだけでなく、高い耐久性を持っている / Credit:Penn State

帽子の着脱や、手で髪をとかすといった動作にも耐えうる設計で、日常生活に支障をきたしません。

しかもこの電極は、複数の髪色に対応した染色が可能で、髪にまぎれて外見からはほとんど識別できません。

もちろん、現段階ではいくら電極が細くとも、脳波を計測するためには有線で機器に接続しなければいけません。

それでも研究チームは、これらのワイヤレス化を目指しています。

では、この電極は今後どのような場面で使用されていくことが予想されるでしょうか。

たとえば、てんかん患者の自宅モニタリングでは、病院に泊まらずとも日常生活の中で発作兆候を記録できるようになります。

また、メンタルヘルスチェックへの応用も期待されています。

ストレスや不眠の兆候を脳波から捉え、スマホアプリと連動するウェアラブル機器として使用できる可能性があります。

ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)の分野では、ユーザーが目立たない形で電極を装着し、ドローン操作や文字入力を行うといった活用が期待されます。

さらに、教育現場やビジネスシーンでは、学生や社員の集中状態を可視化し、最適な作業環境づくりに活かせるかもしれません。

加えて、3Dプリントによるカスタム設計が可能なため、将来的には個人の頭部形状や髪型に合わせたオーダーメイド電極も登場する可能性があります。

このように、この新しい電極は、「不快で目立つ脳波検査」という常識を根底から覆すだけでなく、あらゆる分野での可能性を秘めています。

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脳波検査の常識を覆す「髪の毛」みたいな極細電極が開発される (2/2)のコメント

ゲスト

これを髪の毛としてそのまま植毛してそのままインターフェースに…。

ゲスト

ARグラスと連動して脳波だけで簡単な操作はできるようになればいいんだが。

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