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シリコン×アルミニウムでプラチナ超えに成功 / Credit:Canva,ナゾロジー編集
science

【レアメタル不要】シリコン×アルミニウムの特殊材料がプラチナ超えの性能を発揮!【スピントロニクス】 (2/2)

2025.05.13 11:30:14 Tuesday

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シリコンとアルミニウムで「プラチナ超え」に成功

研究チームが着目したのは、地球上に豊富に存在するシリコンとアルミニウムという身近な材料でした。

通常、これらの元素では効率的なスピン流は発生せず、スピントロニクス材料には不向きとされてきました。

ところが研究チームは、「ナノ傾斜構造」と呼ばれる特殊な構造を設計することで、これらの弱点を克服することに成功しました。

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ナノ傾斜材料の軌道渦によるスピン流と磁気トルク発現の概念図 / Credit:慶應義塾大学

ナノ傾斜構造とは、原子レベルで成分比を徐々に変えた特殊な構造のことであり、性質が連続的に変化する特徴を持ちます。

今回研究チームは、シリコンとアルミニウムをナノメートルスケールで交互に積層し、その組成を徐々に変化させたナノ傾斜材料を開発。

この新しい材料では、材料内部で電子の回転運動が局所的に強化され、これが強力なスピン流を生み出すと分かりました。

この現象は、従来のスピントロニクス理論では考えられなかった「新しいスピン流生成メカニズム」として注目されています。

そして実験では、このナノ傾斜材料が最適化され、従来の材料であるプラチナを上回る性能を発揮することを示しました。

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ナノ傾斜材料の性能指数。プラチナ超え / Credit:慶應義塾大学

今回の研究は、地球上に豊富に存在するシリコンとアルミニウムで、レアメタルであるプラチナを超えることができた点で、画期的な成果を示したと言えます。

この新しい材料は、MRAM(磁気を使った次世代メモリ)やスピントランジスタ(磁気を使った次世代トランジスタ)など、省電力かつ高性能なメモリや演算デバイスへの応用が期待されています。

レアメタルへの依存から脱却し、ありふれた材料に秘められた可能性を最大限に引き出す

今回の研究は、科学技術の限界を一歩押し広げた素晴らしい例となりました。

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