「友人」と「恋人」に抱く無意識の期待

私たちは、友人や恋人に対して自然に「こうあってほしい」という期待を抱いています。
それは普段意識することはなくても、心の奥で人間関係を判断する基準になっています。
心理学者の研究によると、友人に求めるものと恋人に求めるものには、大きく異なる点があるといいます。
例えば、友人に対しては「信頼できること」や「困ったときに支えてくれること」、「一緒にいて楽しいこと」を期待します。同性の友人なら、さらに自分を高め合えることや、考え方を理解してくれることも大切にされます。
しかし恋人となると、そこにもう一つ大きな要素が加わります。
それが「外見的な魅力」です。
特に異性の恋人に対しては、無意識のうちに相手の外見や雰囲気に対する期待が強く働くことが多いのです。
これは進化心理学の考え方では、人類が長い歴史の中で「健康的で良い子孫を残せそうな相手」に惹かれてきた本能の名残だと説明されています。
また恋人には、将来のビジョンを一緒に描けるかどうか、という期待も含まれているとされます。
一緒にいて楽しいだけではなく、「ずっと一緒にいたい」「この人と人生を歩みたい」と思えるかどうかが両者を区別する判断基準になるようなのです。
つまり、友人関係は「今を楽しく過ごすこと」に重きが置かれ、恋愛関係は「未来をどう過ごすか」まで視野に入れた関係性なのです。
この違いが、同じように親しい相手でも「友人ならOKだけど、恋人にはなれない」と感じる理由のひとつです。