恋人は親友?最新研究が示す恋愛と友情の新しい形
ここまでは恋人と友人の心理的な認識の違いについて語ってきましたが、近年は、以前に比べて人間関係における「恋人」と「親友」の境界はあいまいになっていると言われています。
かつては恋人と親友は別のカテゴリーとして考えられることが一般的でしたが、心理学や社会学の研究者の間では、近年は恋人を親友でもあると考える人が増えているという指摘があるのです。
これはSNS上での投稿や、カウンセリングや恋愛相談の場で目立つようになったと言われます。
また、結婚や恋愛関係における価値観が、「大人になったら当然結婚すべき」という昔ながらの社会の常識や経済的安定よりも個人の幸福や親密さを重視する方向にシフトしていることも背景にあると考えられます。
しかし実際にどれほどの人が恋人を親友とみなしているのかについては、これまで具体的な調査は行われていませんでした。
またある調査研究によるとアメリカ人の61%が「親友は人生で最も重要な存在だ」と考えている一方で、「結婚関係が人生で最も重要だ」と答えた人は23%にとどまることが示されています。
こうした結果を見ると、恋人を親友のように感じていたとしても、親友と恋人の位置づけは多くの人の中で異なっていると考えられます。
そこでこの実態を明らかにするため2025年にコロラド州立大学(Colorado State University)コミュニケーション学部の研究者、ナタリー・ペニントン(Natalie Pennington)博士らが調査研究を行いました。
彼らの研究ではアメリカの成人約900人を対象に調査が行われました。
その結果、恋人を友人リストに含める人は36%で、そのうち約40%の人は恋人を「親友」ともラベル付けしていました。つまり全体の約14%が恋人=親友と考えていることになります。
そして恋人を親友と捉える人は、より高い親密さと日常的なやり取りを報告しており、恋愛関係における満足度や安心感が高い傾向がありました。
これは「友情が恋愛の土台になることで関係が深まる」という心理学的知見と一致します。
一方で興味深い結果もありました。
それは恋人を親友と考えない人の方が、周囲の友人に悩みを相談したり、励ましや助言をもらうことが多かったというものです。

これはつまり恋人を親友とも見なすことで関係の密度が増す反面、他の友人とのネットワークが希薄になりやすいというリスクを示唆しています。
また、年齢が高い人ほど恋人を親友と見なす傾向が強く、収入が高い人や既婚者はその傾向が弱いこともわかりました。これも人生のステージや価値観によって恋愛と友情のとらえ方が変わることを示しています。
この最新研究は、私たちが無意識に行っている「恋人と友人の線引き」が、周囲との関係にも影響する可能性を示しています。
恋人にはドキドキ感や期待が求められ、友人には安心感や共感が求められますが、恋人が親友としても機能するとき、相手への依存度が高くなりすぎて恋人以外の他者とのつながりが弱くなるリスクがあるのです。
この研究結果は、恋愛と友情の境界線が揺れ動く現代において、人間関係のあり方を考えるヒントになるかもしれません。
吊り橋効果はもともと好きな相手にしか起きないという研究を見たときはこの世はひどい世界だなと思いましたね。
すごい