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Credit: ja.wikipedia
biology

地球に存在しない「未知の新種細菌」を中国宇宙ステーションから検出!

2025.05.20 12:00:31 Tuesday

中国の宇宙ステーション内で、これまで地球上では確認されたことのない”未知の新種細菌”が検出されたようです。

報告をしたのは、北京宇宙機システム工学研究所(ISSE)らの研究チーム。

「ナイアリア・ティアンゴンゲンシス(Niallia tiangongensis)」と命名されたこの新種細菌は、過酷な宇宙環境でも生き延びるための適応進化を遂げていたとのことです。

果たして、人間に害を及ぼす存在なのでしょうか?

研究の詳細は2025年3月3日付で科学雑誌『International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology』に掲載されています。

Unknown Species of Bacteria Discovered in China’s Space Station https://www.sciencealert.com/unknown-species-of-bacteria-discovered-in-chinas-space-station
Niallia tiangongensis sp. nov., isolated from the China Space Station https://doi.org/10.1099/ijsem.0.006693

宇宙で生存できる進化を遂げていた

中国宇宙ステーション「天宮」での微生物調査は、居住区の衛生状態や宇宙飛行士の健康維持を目的として定期的に行われています。

そんな中、2023年5月に天宮に滞在していた「神舟15号」の乗組員が、キャビン内から綿棒でサンプルを採取。

それらを地球に持ち帰って分析したところ、そこには人類が地球上では見たことのない細菌が含まれていたのです。

この新種は天宮(Tiangong)にちなんで、「ナイアリア・ティアンゴンゲンシス(Niallia tiangongensis)」と命名されました。

今回の新種は、もともと「バチルス属(Bacillus)」という病原性種と考えられていたものの、数年前に新たな属に再分類された「ナイアリア・サーキュランス(Niallia circulans)」という土壌性の桿菌(棒状の細菌)の近縁種であることが特定されています。

注目すべきは、その生存戦略です。

この細菌は栄養に乏しく、放射線や乾燥などのストレスが極めて大きい宇宙環境においても、「芽胞(がほう)」という強靭な休眠構造を形成し、その中で生存に不可欠な化学成分を保護することで生き延びられることがわかりました。

さらにゼラチンを炭素や窒素の栄養源として分解できる酵素を備えており、分解したものを利用して、周囲にバイオフィルム(保護膜)を構築し、外部環境から身を守る能力も持っていたのです。

このような能力は、宇宙という極限環境に適応するうえで、極めて有利に働くと考えられます。

次ページ人体に害を及ぼす存在なのか?

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