光の「ゆらぎ」を可視化する?
ふつう、遠くのものを見るには「レンズ」や「拡大」が必要です。
高性能な望遠鏡やカメラは、この原理でできています。
でも、今回の技術はちょっと違います。
研究チームは、カメラの代わりに「赤外線レーザー」と「2台の望遠鏡」を使いました。
このレーザーは、まっすぐに飛んでターゲット(たとえば遠くのビルの窓)を照らし、その反射光を望遠鏡で受け取ります。
しかし、その反射光をただ写真に撮るわけではありません。
なんと「光の強さがほんの少しだけランダムに変化する」という現象――いわば「光のゆらぎ」――に注目して、それをもとに画像を再構成するのです。
ちょっと想像してみてください。
ふたつのマイクで同時に雷の音を録音し、その音の微妙なズレから「どこでどのように雷が光ったか」を割り出すようなイメージです。
今回の技術は、その「視覚的な光バージョン」だと考えるとわかりやすいかもしれません。

しかも、この装置はただの赤外線レーザーではありません。
研究チームはレーザーを8本に分けて、それぞれ少しずつ違う角度からターゲットに照射しました。
その結果、大気などで起こる「光のかすれ」がちょうどいい具合にバラバラになり、逆に画像化に役立ったのです。