Credit:ナゾロジー編集部,OpenAI
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「自信に満ちた男性ほど、心が折れやすい」テストステロンの意外な影響 (2/2)

2025.06.07 21:00:51 Saturday

前ページテストステロンは「心」にも影響するホルモン

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自信過剰なのに繊細、テストステロンの裏側

実験の結果、テストステロンを投与された男性は、他人から肯定的なフィードバックを受けたとき、自己評価が大きく上昇する傾向が見られました。

反対に、否定的な評価を受けた場合には、プラセボ群の男性よりも著しく自己評価が低下することがわかりました。

つまり、テストステロンは「自信を押し上げるホルモン」であると同時に、「他人の評価に強く左右される感情的な揺れを増幅させるホルモン」であることが示唆されたのです。

研究者たちはこの結果を、「テストステロンが社会的な報酬や脅威に対する感受性を高め、自己イメージの可塑性を増す」と解釈しています。

ここで注目すべきは、テストステロンが精神的な強さそのものを高めているわけではない、という点です。

むしろ、社会的な評価がポジティブなときは高揚感をもたらし、ネガティブなときには深い落ち込みを招くという、いわば「感情の振れ幅」を拡大しているのです。

テストステロンは、若い男性ほど分泌量が多く、特に20代前半がピークとされています。また、筋トレを習慣にしている人や、競争の激しい仕事に就いている人、高タンパクの食事や良好な睡眠を意識している人も、テストステロン値が高くなる傾向があります。

つまり、活発でエネルギッシュな若年男性、体育会系の学生、営業職やリーダー職にある人などが該当しやすいと言えるでしょう。そうした人々は、自信にあふれ、行動力があり、積極的に物事に挑戦する姿勢を見せることが多くあります。

しかし、今回の研究は、そうしたテストステロンが高い人ほど、他人からの評価に対して心が大きく揺さぶられやすいことを示しました。褒められればぐっと自信が高まり一方、けなされると簡単に心が折れやすい可能性があるのです。

Credit:canva

そのためテストステロンは、これまで言われていたような単に自信を高めるホルモンというより、社会的な承認や拒否に対して感情の起伏を強めるホルモンだという新たな側面が明らかになったのです。

スポーツ選手などもテストステロンは高い傾向があるため、自信家で屈強なのに、妙に人の意見に影響されやすく、繊細でメンタルが弱かったりする場合、それはテストステロンの影響だと考えられます。

また、自分自身についても、「自分は打たれ弱い」「気にしすぎる」と感じている場合、それが性格だけでなく、ホルモンの影響かもしれないと知ることは、自責感を和らげ、心のケアにつながるかもしれません。

体内のホルモンは想像以上に、私達の様々な部分に影響しているようです。

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「自信に満ちた男性ほど、心が折れやすい」テストステロンの意外な影響 (2/2)のコメント

ゲスト

自信は弱さを隠す仮面でしかないってことですね。
弱さは自信を持ってみても消えるものではないですから。

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