日本でも感染しうる?
フォーラーネグレリアは25〜35℃の温かい淡水を好みます。
湖や池、温泉、清掃の不十分なプールに加えて、使用されないまま放置されたRVの水タンクも格好の温床です。
さらに恐ろしいのは、このアメーバが人の体内に入ると、通常の「鞭毛型」から活発な「トロフォゾイト型」と呼ばれる形態に変化し、脳細胞を餌にして猛烈に増殖を始める点です。
皮膚からの侵入や口からの飲み込みによる感染は極めて稀で、多くの場合は体の免疫システムによって排除されます。
しかし「鼻から入った場合」は例外です。
嗅上皮を食い破って嗅神経をたどり、脳に直通するルートを進んでしまうのです。
そのため、CDCは鼻うがいを行う際、必ず「蒸留水」「滅菌水」または「一度沸騰させた水を冷ましたもの」を使うよう強く警告しています。
水道水や、消毒処理が不明な水源からそのまま水を使うのは、まさに“脳に通じる扉”を自ら開け放つような行為と言えるでしょう。

今回の事例はアメリカでの発症でしたが、日本も決して無関係ではありません。
1996年には、佐賀県で25歳の女性がフォーラーネグレリアに感染し、わずか9日で死亡するという症例が確認されています。
水源や感染経路は特定されませんでしたが、日本の淡水環境にも存在することが証明された貴重な事例です。
さらに国内の温泉施設や川で、近縁種であるネグレリア属のアメーバが多数検出されており、日本でも“脳食いアメーバ”感染のリスクが潜在していることは間違いありません。
風邪対策として定着した「鼻うがい」。だからこそ、油断は禁物です。
わずかな注意を怠ることで、取り返しのつかない事態を招くこともあるのです。
水は生命の源であると同時に、ときに命を奪う媒介にもなる。そんな二面性を私たちは決して忘れてはいけません。
母の友人が近いものに感染して死にかけていましたね。
生還率8%だったそうです。
日本の水道水は水道法で定められた基準に従って塩素が添加され、殺菌消毒されているので問題ないのでは?