乾燥地域で「電力」も「フィルター」も必要とせず、飲料水の生成に成功
MITのチームは、実際にこの装置を2023年11月に北米で最も乾燥した地域カリフォルニア州の「デスバレー」に持ち込み、7日間にわたる実地試験を行いました。
結果は驚くべきものでした。
装置は湿度21〜88%という幅広い条件下でも安定して稼働し、1日あたり57〜161.5mlの飲料水を生成しました。
これは、同様のパッシブ型装置だけでなく、一部の電力式装置よりも優れた成果です。

さらに特筆すべきは、「水の安全性」です。
多くのハイドロゲル装置では塩分の漏出が問題となりますが、MITの装置ではナノ細孔を持たないマイクロ構造とグリセロール(保湿性の高い液体化合物)の添加により、リチウム塩の安定化に成功。
実際に収集された水は、フィルターなしでも飲料水基準をクリアしています。
そして、この装置の最大の利点はその拡張性と設置自由度です。
垂直型で省スペースのため、住宅の外壁や窓に複数設置すれば、家庭単位での水供給も可能となるのです。
バッテリーもソーラーパネルも不要なため、電力インフラのない地域でも稼働し、災害時の非常用水源としても有望です。
もちろん、このパネル1つだけでは誰かの喉の渇きを満たすのに十分ではありません。
しかし拡張性を活かして大量にパネルを並べるなら、この課題は簡単に解決できるでしょう。
現在、研究チームはこの技術のさらなる改良に取り組んでおり、新たな素材の開発やスケールアップも視野に入れています。
MITの窓サイズの水収集装置は、「どこでも、誰でも、いつでも」飲料水が得られるという未来をぐっと身近にしてくれる技術なのです。
これは夢のある研究
実用化して欲しいな