ハーブ系マウスウォッシュは悪玉菌だけをターゲットにする
結果として、ステラライフは悪玉菌であるFusobacterium nucleatumとPorphyromonas gingivalisの成長を抑える一方、善玉菌であるStreptococcus oralisやVeillonella parvulaの生存をほとんど損なわないという「選択的な殺菌効果」を示しました。
一方、クロルヘキシジンとリステリンは、善玉・悪玉を問わずすべての菌に対して強い殺菌効果を示し、結果としてバイオフィルムそのものがスカスカになってしまいました。
これは、善玉菌が先にバイオフィルムを形成することで病原菌の定着を防ぐという自然の防御機構を損ねてしまう可能性を意味しています。

さらに、ヒト歯肉細胞モデルでは、クロルヘキシジンが最も強い毒性を示し、細胞の壊死や剥離を引き起こしました。
リステリンも中程度のダメージを与えましたが、ステラライフはほぼ細胞構造を保ち、生存率も高く、組織との親和性が高いことが確認されました。
このように、ステラライフは「選択的殺菌」と「低毒性」という2つの重要な特性を併せ持っており、従来の“無差別攻撃型”マウスウォッシュに対して大きなパラダイムシフトを示す結果となりました。
とはいえ、研究にはいくつかの限界があります。
まず、実験はすべて試験管内で行われており、実際の口腔内環境での効果や長期的な安全性は検証されていません。
また、StellaLifeの製造企業が研究費を提供しているため、客観性の確保も今後の課題といえます。
さらに、この製品は2024年にFDAからの指摘により微生物汚染を理由に自主リコールを行った事例もあり、品質管理に対する継続的な注視が必要でしょう。
そして繰り返しになりますが、StellaLifeはFDAの承認を受けておらず、一般的な医薬品とは異なる分類にあることも明確に理解しておく必要があります。
それでも、ハーブ系マウスウォッシュの可能性を示したこの研究は、いずれ日常のマウスウォッシュ選びに新たな視点を与えるものとなるでしょう。