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人類が子供を産まなくなったら,どれくらいで絶滅する? / Credit:Canva
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今日から出産能力が無くなったら人類はいつ滅亡する?

2025.07.11 11:30:47 Friday

映画『トゥモロー・ワールド』では、人類がなぜか出産できなくなり、最後に生まれた子どもはすでに成人しています。

「人類は希望を失い、社会は暴力と絶望に包まれまれる」といった世界が描かれます。

もし、このようなことが現実に生じたなら、人類はいつ滅亡するのでしょうか。

米ニューヨーク州立大学ビンガムトン校(SUNY-BU)の名誉教授で人類学者のマイケル・A・リトル氏は、その問いの答えと人類絶滅まで世界の変化を解説しています。

If people stopped having babies, how long would it be before humans were all gone? https://theconversation.com/if-people-stopped-having-babies-how-long-would-it-be-before-humans-were-all-gone-255811

人類が「出生ゼロ」になった世界で生じること

空想の世界では、人類の出生が突如止まるシナリオが度々描かれます。

例えば、「生殖年齢の人類すべてを不妊にするウイルスが世界的に流行する」「放射線や環境汚染による不妊化」「核戦争後の被曝や損傷によって人類が再生産不能に陥る」などがあります。

現実味は低いですが、仮にこうした事態が起きれば、「最後の赤ちゃん」を迎えた瞬間から新たな命が生まれなくなる未来が始まります。

ではその瞬間から、人類はどの程度の時間、地球上にとどまることができるのでしょうか?

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出産能力が無くなってからも「人類は100年続く」と考えるのは早計 / Credit:Canva

「平均寿命が80年だから、100年くらいは大丈夫だろう」と思うのは早計です。

社会は個々人の寿命よりも、機能する労働力の存在に大きく依存しています。

若者がいなくなると、最初に影響を受けるのは社会インフラの維持です。

医療、食料生産、物流、上下水道、エネルギー供給といったインフラは、多くが若年労働者によって支えられています。

出生が完全に止まってから30年も経てば、現場で働く世代は高齢化し、技術や労力が足りず、サービスの質は急速に低下していきます。

高齢者のケアや生活支援を担う世代も不在となり、社会は機能不全に陥ります。

リトル氏は、こうした連鎖的な社会崩壊を前提にすると、人類が絶滅するのは「70〜80年後になる可能性もある」と主張しています。

これは決して誇張ではありません。電気が止まり、物流が途絶え、医薬品や清潔な水が手に入らなくなれば、感染症や飢餓のリスクが急増します。

文明の恩恵を失った人類は、思いのほか脆く、短期間で滅びうるのです。

では、現実世界での出生について考えてみましょう。

次ページ現実に進行している「静かな崩壊」

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