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psychology

「なんで恋愛したいのか?」その理由が半年後に恋人がいる確率に影響していた (2/2)

2025.07.27 12:00:14 Sunday

前ページ恋愛は「したいからする」のか、「しなきゃいけないからする」のか?

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「焦り」や「不安」からの恋愛は、成功しにくい傾向があった

半年後の追跡調査により、研究チームは各動機タイプと、実際に交際関係が始まったかどうかの関係を分析しました。

その結果、「恋人がいないと恥ずかしい」「恋愛経験がないと自分に問題があるように思える」といった否定的イントロジェクション動機を持つ人ほど、半年後に恋人ができている割合が有意に低いことが明らかになりました。

一方で、「恋愛が楽しい」「恋愛は自分の人生にとって意味がある」と感じていた人、つまり内発的動機や同一化動機を持っていた人たちは、交際に至っている割合が比較的高い傾向にあったのです。

興味深いのは、「親や友人の期待に応えるため」といった外的動機を持つ人たちでは、否定的イントロジェクション動機を持つ人ほど交際の成功との明確な関連が見られなかったことです。

研究チームは、こうした外的な動機は行動への意欲としては弱い一方で、強い自己否定感を伴わないため、恋愛の結果にはあまり影響を及ぼさない“中立的”な動機になっているのではないかと考えています。

また研究者を驚かせたのは、恋愛に無関心だった「無動機」の人たちでも、一定の割合で交際に至っていたことです。

これはたとえ恋愛に興味がなく、積極的に相手を求めなかったとしても、構えすぎず自然に関係が始まる可能性は一定割合で起こり得ることを示唆しています。

いずれにせよ、「恋人がいないと恥ずかしい」「恋人がいないと自分に欠陥があるように思える」から恋愛したいという人たちは、他の動機を持つ人より恋人が出来づらいというのは、今回の研究の非常に興味深い発見です。

研究チームは、否定的イントロジェクション動機を持つ人が交際に至りにくい理由について、いくつかの心理的メカニズムを挙げています。

否定的イントロジェクション動機を持つ人は、他人に拒絶されることに対して過敏になりやすく、相手のちょっとした反応にも強く傷ついてしまう傾向があります。そのため、やりとりがぎこちなくなったり、自信のなさが前面に出てしまったりして、関係を自然に育てることが難しくなってしまうのです。

また、恋愛を「自分の価値を証明するための手段」としてしまうと、相手との関係が面接のようになってしまい、相手に過度に気を遣いすぎたり、緊張しすぎて、本来の魅力や自然な親密さを発揮しにくくなってしまうのです。

逆に、内発的な動機を持つ人は、恋愛を楽しみたいという自律的な気持ちから行動するため、相手にも自然体で接しやすく、関係が築きやすいのだと考えられます。

このため恋愛を「すべきこと」や「埋めるべき空白」としてではなく、「人生の一部として楽しみたい」と感じている人たちの方が、実際に関係を築くチャンスを得やすいのかもしれません。

恋人ができない人は恋愛の出発点を見直すべきかも

今回の研究は、「なぜ恋愛したいのか?」という私たちがあまり意識しない問いに、科学的に迫った点で注目されます。

心構えや動機は、重要なものだとは思えるものの、実際半年間で恋人ができる割合に有意に関連していたというのは意外に感じる人も多いでしょう。

この研究の結果を踏まえると、恋愛を上手く成就するには次のようなことが重要と考えられます。

  1. 恋人を“自分の価値を証明する手段”にしない
    恋愛で自分の欠点を埋めようとすると、相手への期待や不安が大きくなりすぎて、自然な関係を築きにくくなります。
    恋愛を自分の「欠けている部分を埋める手段」ではなく、自分がすでに持っている日常や人生を、誰かと共有してより豊かにする経験として捉えることが大切です。
  2. 「なぜ恋愛したいのか?」を一度書き出してみる
    今回の研究では、「不安」や「恥ずかしさ」からくる動機は交際成功率を下げる傾向にありました。
    自分の気持ちがどこから来ているのか、自分なりに言葉にしてみることで、無意識の焦りに気づくきっかけになるかもしれません。もし「誰かと時間を共有したい」「一緒に何かを楽しみたい」など、肯定的な動機が見えてくれば、それが行動の指針になるでしょう。
  3. “恋愛しなければならない”というプレッシャーから距離を取る
    外的動機(親や友人の期待など)や無動機(特に理由がない)で恋愛を望んでいた人の中にも交際に至った例はありましたが、 いずれも「恋愛は当然するもの」という考えに縛られていない点が共通しています。
    “恋愛すること自体が正しい”という価値観から一度距離を取り、肩の力が抜いて過ごすことも恋愛関係を作るためには重要だと研究は示しています。

研究チームは今後の課題として、こうした恋愛動機がどのように育まれるのか、あるいは時間とともにどう変化するのかといった心理的プロセスに注目する必要があると述べています。

また、今回はアンケート調査が中心だったため、婚活アプリと連動した出会いの数など実際の恋愛行動との関係を用いて、今後さらに詳しく分析してみたいとしています。

私たちはつい「恋人が欲しい」と思う気持ちそのものの強さに注目しがちですが、その背後にある「なぜ恋愛したいのか」という動機の質が、案外と恋愛の行方を左右しているのかもしれません。

恋愛の出発点を見直すことが、より自然で健やかな関係を築くための第一歩となるのではないでしょうか。

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「なんで恋愛したいのか?」その理由が半年後に恋人がいる確率に影響していた (2/2)のコメント

ゲスト

ようは焦るなと。
そうは言うがな、大佐。
焦ってなくても出来ないものは出来ないぞ。

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