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二酸化炭素を吸収・固定する建材を開発 / Credit:ETHZ_EurekAlert
science

【木のように生きる建物】CO2を吸収・貯蔵する「建築材料」を開発 (2/2)

2025.07.31 22:00:17 Thursday

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3mの柱が最大18kgの二酸化炭素を吸収!建築物が“呼吸”する未来へ

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樹齢20年の松の木と同じ炭素吸収率を誇る「生きた柱」 / Credit:ETHZ_EurekAlert

この生きた建築材料は、どれほどの炭素吸収力を持つのでしょうか?

実験によれば、合成を続けることで、1gあたり30日間で約2.2mgのCO2を吸収でき、さらに400日間の長期実験では最大26mg/gのCO2を鉱物として固定できたといいます。

これは一般的な藻類や木材系素材に比べても高性能であり、再生コンクリートによるCO2固定(約7mg/g)よりもはるかに効率的です。

また、素材の内部で生じる鉱物の蓄積によって剛性(硬さ)や強度も向上していき、建材としての安定性も高まっていきます。

さらに研究チームはこの技術を建築レベルにスケールアップし、2025年のヴェネツィア・ビエンナーレで実際のインスタレーションを公開しました。

「Picoplanktonics」と題された作品では、3m級の“生きた柱”が展示され、1本あたり年間最大18kgのCO2を吸収可能であると試算されています。

これは樹齢20年の松の木とほぼ同等の吸収力です。

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Dafne’s Skin / Credit:Dafne’s Skin_Zita Oberwalder

また、ミラノ・トリエンナーレの展示「Dafne’s Skin」では、木製外装に微生物が生成する緑のパティーナ(被膜)が現れ、美的効果と炭素固定を同時に達成するという“美しく老いる建築”の試みがなされました。

将来的には、こうした素材を外壁や屋根のコーティング材として活用することで、都市そのものが巨大な炭素吸収体となる未来も考えられます。

とはいえ実用化には素材の耐候性や都市環境への適応といった課題の解決が求められます。

ETHZでは現在、建築家やエンジニアと連携して、都市スケールでの応用可能性を検証中です。

CO2を吸収できるこの「生きた素材」が、コンクリートに代わる新たな建材として普及する日も、そう遠くはないかもしれません。

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【木のように生きる建物】CO2を吸収・貯蔵する「建築材料」を開発 (2/2)のコメント

ゲスト

それはそれで火災とか日照が弱かったりとか水分の供給が間に合わないとかでバクテリアさんが死んでしまうと何だか悲しい気分になりそうでちょっと気が引けるかなって。
お世話がある程度いるんですよね?

名無し

植物は光合成で取り出した炭素をもとに化学物質生成して体を大きくするけど
このオブジェクトで生成され続けたら閉じ込めてる部分が壊れるんじゃ?

ゲスト

成長して重量増えたらどうすんのこれ

ゲスト

はぇ〜吸収したCO2はどうするんや?って思ったらどこにも書いてなかった。油系の燃料にでも変換できれば回収もしやすそうで良さそうなんだがなぁ

ゲスト

ドミニオンの生体建材が現実に、と思ったらそこまでの代物じゃないか。
まあ今後に期待やね。

あふろん

ドミニオンの生体建材が現実に、と思ったらそこまでの代物じゃないか。
まあ今後に期待やね。

ゲスト

蔦を壁に這わせてんのとかグリーンカーテンって言ってテラスに植木鉢置きまくるのとどのくらい違うの?
意図しない場所で増殖する可能性は?

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