無呼吸症候群の診断における「見落とされていた側面」
閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とは、睡眠中に上気道が塞がって呼吸が止まってしまう病気で、日中の強い眠気や集中力の低下、心疾患のリスク増大など、深刻な健康被害をもたらします。
OSAの診断は、通常、病院で一晩の睡眠ポリグラフ検査によって行われます。
この検査では、脳波、酸素濃度、気流、心拍などを記録して診断を下します。

しかし、ここに大きな問題があります。
多くの病院では、この検査が平日の夜に行われることが多く、週末の変動が反映されない可能性が指摘されています。
フリンダース大学の研究チームは、これがOSAの診断に偏りを生んでいる可能性に注目しました。
つまり、「週末にこそ重症化している人」が、平日の検査だけでは見逃されているかもしれないという仮説です。
この仮説を検証するため、研究者たちは23カ国・7万人の参加者から睡眠データを収集しました。
被験者の81%は男性、平均年齢は53歳。
それぞれの睡眠データは自宅環境で平均約500夜にわたって記録され、研究チームはその中から無呼吸の重症度を毎晩算出しました。
この研究では、診断済みかどうかを問わず、臨床の診断基準に基づいた指標で夜ごとの変動を分析し、曜日による違いを検出するという画期的なアプローチがとられました。
そしてこの結果は驚くべきものでした。