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無呼吸症候群は週末の夜に悪化する / Credit:Canva
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無呼吸症候群の重症化リスクは「週末の夜に最大47%高まる」と判明

2025.08.15 20:00:52 Friday

睡眠時に呼吸が止まってしまう無呼吸症候群には、早期の発見と正しい治療が必要です。

それにもかかわらず、症状が正しく診断されていない可能性があるという、驚くべき研究結果が発表されました。

この研究を行ったのは、オーストラリアのフリンダース大学(Flinders University )の研究チーム。

彼らは7万人以上の睡眠データを解析し、無呼吸症候群の重症度が曜日によって大きく変動することを明らかにしました。

特に注目すべきは、週末の夜に症状が最大47%も悪化するという点です。

この現象は研究チームによって「social apnea(社会的無呼吸)」と名付けられました。

研究成果は2025年8月7日付の『American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine』誌に掲載されています。

‘Social apnea’: Common sleep disorder up to 47% more severe on these days https://newatlas.com/sleep/social-apnea-weekend/ Weekend habits linked to new sleep disorder trend: ‘Social Apnea’ https://www.eurekalert.org/news-releases/1094356
“Social Apnea”: Obstructive Sleep Apnea is Exacerbated on Weekends https://doi.org/10.1164/rccm.202505-1184RL

無呼吸症候群の診断における「見落とされていた側面」

閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)とは、睡眠中に上気道が塞がって呼吸が止まってしまう病気で、日中の強い眠気や集中力の低下、心疾患のリスク増大など、深刻な健康被害をもたらします。

OSAの診断は、通常、病院で一晩の睡眠ポリグラフ検査によって行われます。

この検査では、脳波、酸素濃度、気流、心拍などを記録して診断を下します。

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睡眠中に上気道が塞がって呼吸が止まる閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)/ Credit:Canva

しかし、ここに大きな問題があります。

多くの病院では、この検査が平日の夜に行われることが多く、週末の変動が反映されない可能性が指摘されています。

フリンダース大学の研究チームは、これがOSAの診断に偏りを生んでいる可能性に注目しました。

つまり、「週末にこそ重症化している人」が、平日の検査だけでは見逃されているかもしれないという仮説です。

この仮説を検証するため、研究者たちは23カ国・7万人の参加者から睡眠データを収集しました。

被験者の81%は男性、平均年齢は53歳。

それぞれの睡眠データは自宅環境で平均約500夜にわたって記録され、研究チームはその中から無呼吸の重症度を毎晩算出しました。

この研究では、診断済みかどうかを問わず、臨床の診断基準に基づいた指標で夜ごとの変動を分析し、曜日による違いを検出するという画期的なアプローチがとられました。

そしてこの結果は驚くべきものでした。

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