男子には支え、女子には逆効果
分析の結果、オンラインゲームの社会性が男子と女子で真逆の影響を持つことが明らかになりました。
男子では、社会性の高いオンラインゲームで遊ぶと、その後の孤独感や気分の落ち込みが和らぐ傾向が見られました。仲間と協力したり会話したりすることが、心の支えになっていたのです。
一方、女子では逆に、気分が落ち込み、孤独感が強まる傾向が見られました。さらに女子は、気分が沈んでいるときほど社会性の高いゲームを選びやすく、「落ち込む→つながろうとしてゲームに頼る→でも改善しない」という悪循環に陥る可能性が示されたのです。
なぜ男女で結果が反対になるのでしょうか。この疑問について研究者は次のように考察しています。
男子は大人数での活動を通じて友情を深めやすく、オンラインゲームのような共同作業と相性が良いと考えられます。
一方、女子は少人数での深い会話を重視するため、ゲーム内の表面的なやりとりでは心が満たされず、かえって孤独感を強めている可能性があります。
ただし、この研究では「ゲームに交流の仕組みがあるかどうか」を測っただけで、実際にどれくらいチャットや協力をしたかまではわかりません。また、複数のゲームをどう遊び分けていたかやプレイ時間も考慮されていません。半年ごとの追跡のため、日常的な細かい変化までは見えていない点も注意が必要です。
それでも、3000人規模の長期調査から「男子にとっては支え、女子にとっては負担」という明確な違いが浮かび上がったことは大きな意味があります。
オンラインゲーム上のつながりは、現実の人との交流の代替には必ずしもなっていないということがこの結果からは見て取れます。
ネット上に遊ぶ友達がたくさんいるだけでは、孤独じゃないとは言えないようです。