脳の科学が明かす「何もしない」時間の重要性
「何かをしていないと落ち着かない」「手を止めたらサボっていると思われそう」と感じますか?
たとえば、スマホを手放せなかったり、カレンダーに予定が埋まっていないと不安になったりする感覚があるかもしれません。
私たちがそう感じる背景には、「休息=怠惰」という文化的な固定観念があります。
しかし、最新の神経科学の研究では、まったく逆の事実が明らかになっています。
それが、脳の中で「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)」と呼ばれる領域の働きです。
このDMNは、仕事や家事などの“課題に集中していないとき”に活性化する脳のネットワークであることがわかっています。
このネットワークは、記憶を整理して統合する働きを持っています。
また、問題解決のための準備を行うことや、内省や創造的な発想を促すことにも関与しています。
つまり、「ぼーっとしている時間」にこそ、私たちの脳は裏で極めて重要な作業をしているのです。
この事実は、多くの人が「ひらめきはシャワー中や散歩中に降ってくる」と感じる理由にも一致します。
集中状態ではアクセスできないような、脳の深い層が働き始めるのです。
さらに、たとえ短い時間であっても、定期的に休息を取ることが重要だと分かっています。
例えば米イリノイ大学の研究によると、長時間の作業の合間に短い休憩(わずか数分)を入れることで、 集中力の持続が高まることが証明されています。
これは、「ポモドーロ・テクニック(25分作業+5分休憩)」などの時間管理術が科学的にも正当性を持つことを裏付けています。
そして休むことは、私たちがストレスを抱えないうえでも非常に重要です。