「休むことは戦略である」 一流が実践する持続性の科学
ムーン氏が特に警鐘を鳴らしているのが、休まずに頑張り続けることの危険性です。
人は過度な労働を続けると、ストレスホルモンであるコルチゾールの濃度が高まり、 慢性的な疲労や不眠、免疫力の低下、情緒不安定、さらにはうつ病やバーンアウト(燃え尽き症候群)へとつながります。
これらは単なる“気の持ちよう”ではなく、生理学的な問題なのです。
誰もが「休息」を取り入れる必要があります。
実際、ムーン氏も、過去1年でサミットの開催、ポッドキャストを開設、書籍の出版という怒涛の活動をこなした結果、「休まなければ倒れると自覚した」と述べています。
そこで彼女が行ったのは、「何もしないことをスケジュールに入れる」という方法です。
例えば、朝の時間をゆっくりと過ごしたり、長めの散歩を楽しんだり、メールを完全にシャットアウトする時間を確保したりしました。
これらを日常に取り入れることで、「再び創造性やエネルギーが戻ってきた」と語っています。
ここで重要なのは、休むことを「報酬」ではなく「戦略」として扱うことです。
一流のプロたちはこのことを本能的に理解しています。
例えばスティーブ・ジョブズは創造的な思考のために長い散歩を習慣にしていました。
また、一流のアスリートもトレーニング日と同じように休息日もスケジュールに組み込んでいます。
さらに、医学の世界でも、治癒は活動中ではなく休息中に進むことが知られています。
このように、「休むこと」は決して後回しにするものではなく、 むしろ成果を持続させるための不可欠なピースなのです。
ムーン氏は最後にこう語っています。
「喜びは、1日のスケジュールをぎっしり詰め込むことではなく、人生を味わう“余白”にこそ宿るのです。
時に、最も生産的なこととは、”何もしないこと”だったりします」
かといって何もしないままなのも…。
何もしていない日々を送る私からの感想でした。