捕食者と被食者の「信号戦争」
今回の研究が特に注目されるのは、捕食者であるクモが、他の生物の発する性的なシグナルを戦略的に利用している点です。
生物界では、獲物をおびき寄せるために自ら光る「チョウチンアンコウ」のような例は知られています。
しかしシートウエブスパイダーは自ら光を発することはありません。
その代わりに、捕らえたホタルを利用し、あたかも「外部委託」するかのように獲物誘引を行っているのです。
研究者たちはこの行動が、クモにとって発光器官を自ら発達させるコストをかけずに済む進化的な利点をもたらしている可能性を指摘しています。
ホタルを囮として利用することで、より効率的にエサを得られるからです。
また、捕獲されたホタルの大半がオスだったことも興味深い点です。
研究者たちは、オスのホタルが巣に残された光る仲間を「求愛の合図を送るメス」と誤認し、自ら近づいて捕らえられてしまったのではないかと推測しています。
研究者は「獲物を種類ごとに異なる方法で扱うということは、クモが何らかの手がかりを使って獲物を識別し、行動を変えていることを示しています」と説明しています。
つまり、クモは単に獲物を捕まえるだけでなく、その光を利用してさらなる捕食のチャンスを作り出す高度な狩猟戦略を持っているのです。