「ストレス×カフェイン」であきらめない力がアップ?
さらにチームは「ストレス状態」と「カフェイン摂取」が組み合わさるとどうなるか、という点も実験で検証。
このパートでは「冷水ストレステスト(氷水に手を浸し見られるという軽い緊張・ストレス)」を使い、実験参加者を「ストレス群」と「非ストレス群」に分けて、再びカフェインガムを噛んでもらいました。
この実験では、まずストレスを受けた人は「隠し絵タスク」の解答スピードがアップするという現象が観察されました。
そして最も注目されたのが、「ストレスを受けたうえでカフェインを摂取したグループ」は、そうでないグループに比べて「見つからないアイテム」を探し続ける時間や集中力が大幅に伸びていた点です。
一方で、ストレスを受けていない参加者の場合、カフェイン摂取による「粘り強さ」はむしろ若干下がる傾向が見られました。
この結果から、カフェインは「緊張やプレッシャーを感じている場面」でこそ、その真価を発揮しやすいと考えられます。

なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?
研究者らは、カフェインが脳内のドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質に働きかけるほか、「疲労感の低減」や「やればできるという気持ち(努力と報酬の見積もり)の変化」など、様々な仕組みで粘り強さを後押ししていると考えています。
ただし今回の実験には限界もあります。
たとえば「もともとコーヒーが好きな人」「普段からよくカフェインを摂っている人」と「そうでない人」では効果に差が出る可能性があることや、「粘り強さ」を測るタスクの種類によっても結果が変わる点などが挙げられます。
このため「カフェインを摂れば必ずどんな課題も諦めず頑張れる!」という単純な話ではありませんが、ストレス下で困難に直面したときにはカフェインが「もう少しだけ頑張ってみよう」という気持ちを高めてくれる可能性が十分にあるようです。