なぜ人類はマスターベーションをするのか?

この調査結果の面白い点は、セルフ行為が増えたのが「恋人やパートナーがいる人」だったということです。
「セルフ行為」と聞くと、「パートナーがいない寂しい人がやるもの」というイメージが根強いですが、実際には逆の傾向がはっきり出ていました。
調査によれば、恋人や配偶者など「安定したパートナーがいる人」や「カジュアルな恋人がいる人」では、セルフ行為をする人の割合が男女ともに10年前より大きく増加しています。
例えば、「パートナーがいる女性」の場合、10年前は1ヶ月間にセルフ行為をした人は約4割弱でしたが、2010〜2012年の調査では4割を超えるまでになりました。
男性でも同様に、パートナーがいる人ほどセルフ行為を行う割合が増え、76.1%(安定した関係)/87.7%(カジュアルな関係)と高水準になっています。
一方で、「恋人やパートナーがいない人」の間では、10年前とほとんど変化がありませんでした。
パートナーがいない女性では1ヶ月間のセルフ行為の実施率は20.2%とほぼ横ばい、男性でも67.7%とほぼ変わらなかったのです。
ここで、疑問が生じます。
なぜ「恋人がいる人ほどセルフ行為をするようになった」のでしょうか?
普通に考えれば、パートナーがいれば性的欲求は満たされやすいので、セルフ行為は減りそうなものです。
ところが実際には、その逆の現象が起きているのです。
では、セルフ行為の増加はパートナーとの性行為が減少した結果、足りない部分を補うために増えたのでしょうか?
それとも、性的な価値観の変化がセルフ行為をより自由な「自己表現」として楽しめる状況を作ったのでしょうか?
このような疑問を明らかにするため、研究チームは調査結果をさらに詳しく分析しました。
マスターベーション(いわゆるセルフ行為)の頻度が増えていることが分かった研究チームは、「セルフ行為をする理由」についてさらに踏み込んで調べました。
ここで興味深いのが、「セルフ行為をする理由は人によって異なり、さらに男女間でも違いがある」という結果です。
まず、今回の調査では、パートナーがいる人たちの間でもマスターベーションが増えていましたが、実際にパートナーとの性行為の頻度とセルフ行為の頻度を比べてみると、男女で対照的な傾向が現れました。
女性の場合、パートナーとの性行為の回数が多ければ多いほど、セルフ行為も頻繁に行う傾向がありました。
これは、一見不思議な結果です。
パートナーとの性行為で満たされているなら、わざわざセルフ行為をする必要はないと思うかもしれません。
ところが女性にとっては、パートナーとの性生活が充実しているからこそ、セルフ行為という「別の形の楽しみ」も積極的に取り入れている可能性があることが示唆されました。
一方で男性の場合は逆でした。
パートナーとの性行為の頻度が多い人ほど、セルフ行為をする割合が低くなっていました。
これはつまり、男性にとってのセルフ行為が「パートナーとの性行為が不足したときの埋め合わせ(代用品)」として機能している傾向があることを示唆しています。
パートナーとの性行為で十分満足しているなら、あえてセルフ行為をする動機は少なくなるというわけです。
しかし、研究チームがさらに分析を進めたところ、この男女の違いはもっと複雑で、一面的に捉えるのは危険だということが分かってきました。
特に重要なポイントとして浮かび上がったのが、パートナーとの性生活の「満足度」や「性的な問題」が、男女問わずセルフ行為をするかどうかに深く関係しているということです。
たとえば、「本当はもっとパートナーとセックスをしたいのに、実際には頻度が少なくて不満だ」という人や、「自分やパートナーが性的な悩みや障害を抱えていて、性生活がうまくいっていない」という人では、セルフ行為をする割合が男女関係なくともに高くなる傾向がありました。
これは先に触れた「男性は代用品として、女性はプラスアルファとしてセルフ行為をする」という単純な図式とは少し違います。
セルフ行為がただパートナーとの性の不足を補う「代替行動」になることもあれば、パートナーとの性行為が十分であってもさらに楽しみを深める「補完行動」になることもあるわけです。
つまりセルフ行為は、その時の状況や感情次第で、男性でも女性でも全く違う役割を果たしていることが明らかになりました。
「セルフ行為」を食べ物にたとえるならば、通常時は、女性にとってはお腹がいっぱいでもついつい楽しんでしまう「別腹のデザート」のような位置づけと言えます。
一方、男性にとっては「普段の食事が足りない時に登場する非常食」のようなものでしょう。
しかし、パートナーとの関係がうまくいかないときは、男女の差は消えてしまい性別を問わず人はセルフ行為に走ってしまう傾向があるわけです。
研究チームも、「マスターベーションにはパートナーとの関係をさらに良くする『補完的な側面』と、関係がうまくいかないときの『代替的な側面』の両方があり、状況に応じてその役割が変わっているようだ」とまとめています。
まさにこのセルフ行為の「状況次第の役割変化」が、今回の調査の重要な発見の一つと言えるでしょう。
今回の研究からは、私たちが普段あまり人に話さない「セルフ行為」、いわゆるマスターベーションが、実は社会や文化の変化によって、位置づけや意味を大きく変えている可能性があることが明らかになりました。
研究チームは今後、この研究成果を踏まえて、より詳細な調査を計画しています。
次回のイギリス全国調査(Natsal-4)は2022年から2024年にかけて実施が完了しており、現在はデータ分析が進行中です。
これによって、新型コロナの影響やスマートフォン時代の真っ只中での性行動や意識が、今回の結果からさらにどう変わったのかが、近い将来明らかになるでしょう。
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